2022 Fiscal Year Annual Research Report
カブにおける光非依存的なアントシアニン蓄積機構の解明
Project/Area Number |
21J23594
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
瀬川 天太 石川県立大学, 生物資源環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 光非依存的なアントシアニン蓄積 / カブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カブ品種「アカマル」の根茎肥大部における光非依存的な着色機構(LIA機構)の解明を目的としている。LIA機構を有するカブ品種「アカマル」とLIA機構を有さない「金沢青カブ」のF2世代から原因遺伝子領域のqLIA7を同定した。さらに、「アカマル」と「金沢青カブ」のF1世代を「金沢青カブ」で連続戻し交配し、着色の有無を決定するMYB2、色素の種類を決定するF3'HおよびqLIA7の3遺伝子領域のみを「アカマル」由来とし、遺伝背景を「金沢青カブ」とした 「NIL496」を育成した。また、F3'Hのみを「アカマル」由来とし、遺伝背景を「金沢青カブ」とした 「NIL451」も育成した。「NIL496」は、LIAを示さないことから、「アカマル」のLIAを再現するには、qLIA7以外の遺伝子領域が必要であることが分かった。さらに、「NIL496」と「アカマル」のF1はLIAを示したが、「NIL451」と「アカマル」のF1はLIAを示さないことから、LIAの再現には、「アカマル」由来のqLIA7をホモ接合型で有する必要があると明らかになった。 2022年度は、「NIL496」と「アカマル」の交雑後代について再度育成した結果、LIA形質の再現が取れていない個体が出現した。LIAを示すF1とLIAを示さないF1は、遺伝的には同様であることから、エピジェネティックな制御が個体間で異なると考えられた。LIAを示したF1およびLIAを示さなかったF1を、それぞれ、自殖しF2世代を再度圃場で100個体程度育成した。LIAを示した個体のF2後代とLIAを示さなかったF2後代では、共にLIAを示す個体は少なかった。しかし、両F2世代は同様の分離比を示しており、親世代の表現型にかかわらずF2世代の表現型が、決まっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LIA形質が遺伝的に制御されておらず意図したサンプリングが進まないため
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、親世代およびNIL、NILとアカマルのF1、F2世代のカブの表皮で、トランスクリプトーム、メチローム、プロテオーム解析をより多くのサンプルで再度行う。 トランスクリプトーム解析では、RNA-seqやsRNA-seqを行いmRNAやmiRNA発現を網羅的に調査する。 メチローム解析では、EM-seqやChIP-seqを行いDNAメチル化やヒストン修飾を網羅的に調査する。 プロテオーム解析では、Orbi Trapによって核内のタンパク質を網羅的に調査する。 表現型と連関のあるDNA修飾やそれにともなう発現産物、タンパク質を解析し、LIAの制御機構を解明していく。
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