2023 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸シグナルを標的とした難治性骨系統疾患に対する根本的治療法の開発
Project/Area Number |
22KJ2581
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
徳村 和也 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 異所性骨化 / アミノ酸トランスポーター / Slc7a5 |
Outline of Annual Research Achievements |
異所性骨化 (heterotopic ossification = HO) は筋肉や脂肪などの軟組織に病的な骨組織が形成される現象である。HOは早期治療が困難である点、根本的治療法が確立されていない点、および外科手術による異所性骨の除去は禁忌とされている点から、早期予測診断技術・根本的治療薬の開発は喫緊の課題である。我々はこれまでに、マウスHO組織の間葉系幹細胞(MSC)においてSlc7a5が高発現すること、およびMSC特異的にSlc7a5を欠損させたマウスではHOの発症・進展が抑制されることを明らかにした。しかし、それらの詳細なメカニズムは不明である。そこで、本研究では、HOモデルマウスや臨床検体を用いて、Slc7a5イメージングによるHOの発症・進展予測の確立、Slc7a5阻害による異所性骨の縮小および骨化の抑制メカニズムの解明を目的とする。本年度は薬理学Slc7a5阻害によるHOの発症・進展の変化を評価するために、HOモデルマウスにSlc7a5阻害剤であるBCH (2-Amino-2-norbornanecarboxylic acid)を投与し、μCTイメージングにより異所性骨の組織量を定量した。その結果、BCH投与群ではHOの発症・進展が抑制されていた。また、Slc7a5阻害により HOが抑制されるメカニズムをより詳細に解析するために、RNA-seq解析を実施し、Slc7a5の下流シグナル探索を行った。その結果、Slc7a5阻害により変動する遺伝子群が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果より、BCHを用いた薬理学Slc7a5阻害によってもHOの発症・進展が抑制されることが明らかとなった。さらに、Slc7a5阻害により変動する遺伝子群が明らかとなった。これらのことから、本研究の目標である「異所性骨の縮小および骨化の抑制メカニズムの解明」が進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、「異所性骨の縮小および骨化の抑制メカニズムの解明」をより進展させるために、shRNAおよび遺伝子発現ベクターを用いた、遺伝学的解析により、RNA-seq解析で変動した遺伝子群の中でHOの発症・進展に重要な遺伝子の同定を行う。
|