2021 Fiscal Year Annual Research Report
量子対称部分代数の表現論に現れる組合せ構造とその応用
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21J00013
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡邉 英也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 量子対称対 / 結晶 / 表現論 / 組合せ論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ある種の準分裂型量子対称部分代数の表現論に現れる組合せ構造の基礎理論の構築と、その組合せ論的表現論への応用に関する研究を行った。 本研究の目的の一つは、量子対称部分代数の表現論に現れる組合せ構造の研究である。その達成のために、まずは考察対象をある種の準分裂型量子対称部分代数に制限することにした。このような量子対称部分代数の表現は構造が比較的単純であり、本来の目的達成のためのヒントになり得るからである。結果として、「i結晶」という新しい組合せ論的概念を導入するに至り、考察対象の量子対称部分代数の表現はi結晶という組合せ構造を持つことが分かった。さらに、量子対称部分代数の理論における重要な概念である「変形i量子対称部分代数の標準基底」のi結晶を用いた新たな構成法を発見した。この構成法は、既知のものより自然である。 i結晶の応用として、直交群の既約表現の新しい組合せ模型をi結晶を用いて構成した。この模型は、結晶の理論と併せることで、いわゆる非Levi型の分岐則も容易に計算可能であるという点でも既知の模型と異なる趣がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完全に一般的な状況ではないが、特定の量子対称部分代数の表現論において、i結晶という新しい組合せ論的概念を定義し、量子対称対の構造論や直交群の組合せ論的表現論への応用に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られたi結晶の理論を、可積分系に応用することを目指す。具体的には、アフィン量子代数の表現論に現れる組合せ構造である Kirillov-Reshetikhin 結晶の構造を、i結晶の理論を用いて解析することで、可積分系に現れる集合論的反射方程式の解「組合せK行列」を組合せ論的に構成する。 また、アフィン量子代数の重要な有限次元表現 Kirillov-Reshetikhin 加群の、量子対称部分代数の表現としての既約性とK行列の関係を模索する。
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