2023 Fiscal Year Annual Research Report
Combinatorial structures appearing in representation theory of quantum symmetric subalgebras, and their applications
Project/Area Number |
22KJ2603
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡邉 英也 大阪公立大学, 数学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 量子対称対 / 表現論 / 結晶基底 / 組合せ論 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における主な実績は、量子対称対の結晶基底の理論の構築と、その他分野への応用である。 結晶基底の理論は、量子対称対の表現論を組合せ論的に記述する理論であり、一般的にはまだ定式化されていない。本研究課題では、準分裂局所有限型という特別な場合に限って、結晶基底の理論の基礎を構築し、基本的な諸性質を明らかにすることに成功した。この結晶基底の理論を用いて、量子対称対の表現を組合せ論的に理解することで、以下に挙げる成果を得た。 まず、AI型の場合の結晶基底の理論を応用することで、直交群の有限次元表現の新しい組合せ論的模型を構築した。さらにこの模型を使って、新たな分岐則を得た。また、この考え方を柔軟に推し進めることで、まだ結晶基底の理論が定式化されていないAII型の分岐則も得ることに成功した。これらの結果は、量子群の結晶基底の理論を用いた有限次元表現の組合せ論的模型の構築及びテンソル積則の自然な拡張であると言える。 次に、アフィンA型の場合の結晶基底の理論を用いて、ある離散力学系を統制する反射方程式の解である組合せ論的K行列を明示的に求めることに成功した。これは、量子群の結晶基底の理論を用いて、別のある離散力学系を統制する Yang-Baxter 方程式の解である組合せ論的R行列を求めることができるというよく知られた重要な事実の自然な一般化である。このことからも、本研究課題で構築した結晶基底の理論の妥当性が保証される。
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