2022 Fiscal Year Annual Research Report
合成細菌における再構築から明らかにするスピロプラズマ遊泳運動メカニズムとその起源
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21J23306
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
木山 花 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | MreB / 運動能 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの主な研究成果である合成細菌におけるスピロプラズマ遊泳運動の再構築と、そのスピロプラズマらせん反転遊泳運動が異なる2種類の細菌アクチンMreBにより引き起こされることを明らかにした結果を筆頭著者としてまとめた論文がScience Advances誌に受理、公開された。 本研究ではスピロプラズマが辿ったであろう動かない細菌が運動能を獲得するという進化を、合成細菌を用いて実験室で再現することを最終年度の目標としている。その第一段階として、合成細菌に遊泳運動を付与する二種のMreBに対しランダムに変異を導入することで遊泳におけるMreBの役割をより詳細に解明することを目指した。まずMreBへのランダム変異導入により運動能を失った合成細菌をスクリーニングするため、コロニー形状の変化による遊泳運動能の有無のスクリーニング方法を検討した。寒天の濃度と培地に含まれる血清の種類を検討することで、遊泳運動能の有無によりコロニー形状に違いが見られる条件がわかった。PCRを用いてMreBに対しランダムに変異を導入し、コロニー形状によりスクリーニングした結果、形態が元の合成細菌と同様になったもの、らせん状の形態を持つものの運動しないもの、らせん反転運動が遅いものなどさまざまな変異体を取得することができた。変異箇所をシークエンシングで調べたところ、ATP加水分解活性部位やサブユニット間の相互作用に関わる部分、膜結合部位を含むC末端の欠失などの変異が見られた。今後さらにランダム変異の結果を取得することで、遊泳のメカニズムの詳細について重要な示唆を与えることができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に投稿した学術論文が受理・公開されたため、また最終年度の目標である細胞運動の進化実験のために必要な実験系を組み立てることができたため。遊泳の有無を判別する方法として、現状最適な寒天培地の条件を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
スピロプラズマ遊泳のメカニズムと進化を明らかにすることを目的として、大きく分けて以下2点の研究を実施する。2022年度から行なっているMreBタンパク質へのランダム変異導入実験を継続し、MreBタンパク質の遊泳に関わる役割を詳細に解明する。これまでの研究成果をもとに、祖先型タンパク質を用い運動能の獲得の進化実験を行なう。
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Research Products
(6 results)