2023 Fiscal Year Annual Research Report
合成細菌における再構築から明らかにするスピロプラズマ遊泳運動メカニズムとその起源
Project/Area Number |
22KJ2608
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
木山 花 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 合成生物学 / 細菌アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
植物や節足動物の病原細菌であるスピロプラズマはらせん状の細胞の左巻き、右巻きを反転させて遊泳する。本研究では、増殖に必要な最小限のゲノムを持つミニマル合成細菌JCVI-syn3Bを用いて、スピロプラズマらせん反転運動のメカニズムと起源を探索することを目的とした。 2021年度、2022年度の研究でミニマル合成細菌にスピロプラズマが持つアクチンホモログである5種類のMreBのうちMreB5とMreB4もしくはMreB5とMreB1のペアを発現させることで、らせん反転運動を構築できることを明らかにした。MreBは他の細菌では運動のモーター装置の役割を持たない。そこで、2種類のスピロプラズマMreBがらせん反転を駆動するメカニズムとその起源を調べるためにMreBに対して部位特異的変異導入とランダム変異導入を進めつつあった。 2023度は、変異導入したMreBを発現するミニマル合成細菌の形態と挙動を解析した。ATPase活性を低下させる変異、MreBの繊維形成を阻害する変異、ランダム変異など様々な変異をMreBに導入し、MreB5、MreB4、MreB1のみ、MreB5とMreB4のペア、MreB5とMreB1のペアにおいて解析した。変異を持たないMreB5のみを発現するJCVI-syn3Bは右巻きであったが、MreB4のみではらせんを形成しなかったことからMreB5が主となり細胞のらせんを形成していることが示唆された。また、ATPase活性が低下する変異の結果から、MreB4やMreB1がATPのエネルギーを用い、右らせんのMreB5繊維に力を加えることで左らせんに反転させ、遊泳のモーターとして働いている可能性が示唆された。 本研究はMreBが運動のモーターとして働くことをミニマル合成細菌を用いて示唆した初めての研究であり、他の研究に発展することも期待できる。
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