2022 Fiscal Year Annual Research Report
A novel motility system driven by two classes of bacterial actins MreB
Project/Area Number |
22J10345
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 大地 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 細胞骨格 / 構造解析 / 細胞運動 / 重合ダイナミクス / 生化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピロプラズマは細菌アクチンであるMreBを5種類持ち(MreB1-5)、それらを駆使して液体中で遊泳運動を行う。 以前より続けていたスピロプラズマのMreB3とMreB5の研究について論文原稿を投稿し、査読コメントを受けてそれらのATPase活性と重合活性、電子顕微鏡による繊維構造を再評価するための追実験を行った。以上の結果をまとめて再投稿した原稿はOpen Biology誌に受理された(Takahashi D, et al., 2022, Open Biology, 12(10):220083)。また、上述の論文におけるMreBの精製とATPase活性測定の詳細なプロトコルを書籍”Methods in Molecular Biology”において発表した(Takahashi D et al., 2023, Methods in Molecular Biology 2646 -Bacterial and Archaeal Motility- (Springer, ISBN: 978-1-0716-3059-4) chapter 30 (p359-371))。 遊泳に必須なMreB5について、様々な溶液条件で電子顕微鏡観察を行うことで、MreB5は溶液条件の違いに依存してシートや束など様々な構造を形成することが明らかになった。また、主に静的光散乱法を用いた束化形成条件における生化学解析より、シート構造が成長して束化構造が形成されること、束化構造が静電相互作用や二価カチオンによって形成されること、MreB5の正電荷を帯びた構造を取らないC末端が束化構造の横方向の相互作用に重要であることを示した。以上の結果より、遊泳運動を駆動する際のMreB5の細胞内での役割を考察して論文原稿を執筆し、bioRxivにて公開した(Takahashi D et al., 2023, bioRxiv, doi.org/10.1101/2023.01.26.525654)。 また、スピロプラズマのゲノム上でMreBをコードする遺伝子の近傍に保存される機能未知遺伝子を発見し、それが新規のリポタンパク質をコードすることを特徴づけ、microPublication Biology誌にて発表した(Takahashi D and Miyata M, 2023, microPublication Biology, doi:10.17912/micropub.biology.000713)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも示したように、今年度は4本の学術論文を投稿するに至った。それらの論文において、スピロプラズマの遊泳運動に重要なMreB3とMreB5の構造や重合の活性を明らかにすることで、スピロプラズマ遊泳運動の分子メカニズムをより詳細に議論することを可能とした。加えて、今後の重合活性測定のための実験系を構築することに成功した。 一方で、もう1つスピロプラズマ遊泳運動に必須であるMreB1については、以前から抱えていた不溶性画分にて検出される問題を解決するのに多大な労力を要したものの、計画していたほとんどの条件において不溶性の問題を解決することができなかった。しかし、最近になってようやく、とある可溶化タグとMreB1を融合させることでin vitroで解析可能なサンプルを調整することに成功した。 総括すると、MreB3とMreB5については当初予定していたよりも大きく理解を進展させることができた。その一方で、MreB1の解析については当初の計画よりも進行が遅れてしまっている現状にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は精製できたMreB1を、これまでのMreB3とMreB5の研究で確立した実験系によって解析する。加えて上記の実験を、スピロプラズマ遊泳運動に必須なMreB1とMreB5共存下という条件でも行うことで、遊泳運動の基盤となるそれらMreBの共重合の特徴について解析する。 また、現在報告されているMreBの重合測定法は、束化を伴わない条件においては平衡状態の測定に限られる。その状況を解決するためには、真核生物のアクチンでも知られるように、蛍光分子を用いて重合を測定するアプローチが考えられる。その実験系確立のため、MreB表面にシステイン変異を導入して蛍光ラベルを付加することで、真核生物のアクチンのように重合特異的な蛍光強度上昇によって重合の経時測定を行う系の確立を目指す。なお、その条件検討のためのMreB3のシステイン変異体16種類の作製と発現検討はすでに完了している。その重合測定法がMreB3において確立された後、それらをMreB1とMreB5にも応用することで、それらの重合ダイナミクスと、それらMreBの共存下における重合ダイナミクス(すなわち、スピロプラズマ遊泳運動の基盤となる重合ダイナミクス)を解明する。
|
Research Products
(9 results)