2022 Fiscal Year Annual Research Report
Microscopic Structural Analysis for Elasto-Plastic Powder Compression
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22J14399
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
矢野 武尊 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 粉体圧縮 / 離散要素法 / 弾塑性モデル / 二峰性粒子 / 充填構造 / 空隙率 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
粉体圧縮において,粒子特性が圧縮成形体の圧縮挙動に影響を及ぼすことが知られている.特に,粒子の塑性変形性が圧縮成形に及ぼす影響の寄与が大きいにもかかわらず,計算モデルの信頼性や計算負荷の観点から数値解析による微視的構造評価について体系的に検討されていないのが現状である.そこで,本年度は離散要素法により圧縮過程における粉体の微視的な構造変化に着目して検討した. 離散要素法を用いて付着性粉体の弾塑性変形モデルを適用することで粒度分布と塑性変形性の異なる粉体の圧縮プロセスを計算した.粒度分布の異なる粉体を想定して,単分散粒子の系と小粒子を添加した系を計算し,小粒子の体積混合割合の影響を検討した.圧縮過程の粉体の評価として,圧縮特性,空隙率,配位数,接触面積,および上下杵間の最短経路を解析した. 塑性変形性の高い粉体は塑性変形性の低い粉体に比べて高密度化し,小粒子添加によってさらに高密度化した.大小二成分粉体の内部において大粒子に大きな力が印加され,大粒子間の隙間に入りこんだ小粒子は力をほとんど受けないことが明らかとなった.また,小粒子の体積混合割合30 vol%を閾値として充填構造に大きな変化がみられた.特に接触状態について,閾値を超えると小粒子間接触が大幅に増加する一方で大小粒子間の接触はあまり変化しないということが判明した. 本年度の成果について国内外の学会にて発表し,学術論文を現在執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,粉体の弾塑性圧縮プロセスにおける粉体現象の把握であり,粉体シミュレーションにより微視的な構造の変化を詳細に解析することで達成できる.現在所属している研究室において粉体挙動解析用のソフトウェアライセンスを有しているため,粉体圧縮プロセスのシミュレーション系を構築することができた.計算終了後,pythonによる自作コードを開発することにより,接触面積などの充填構造を詳細に評価した.以上より,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,単一成分の単分散粒子,大小混合系,異種材料混合粉体を対象として,in-situ X 線CT による直接観察を行い粉体圧縮中の微視的構造変化を評価する.当大学にはX線CTは設置されているものの,in-situで圧力を印加できる拘束治具は存在しない.そこで,本研究では独自にX線観察が可能な圧縮治具を開発して,圧縮プロセスの緻密化挙動を直接観察する.拘束治具は4 本のM4 締付ボルトと2 枚の金属平板で構成され,臼はX 線を透過するポリカーボネートで作製し,杵にはSKD 鋼を用いる.締付トルクによって印加圧力を変化させてX 線CT 測定を行い,経時的に微視的構造を解析する.すなわち,最終的に得られる圧縮成型体の評価のみでなく,粉体圧縮過程をin-situ で直接観察が可能となる.このとき,印加圧力は100 MPa を超える高圧領域まで幅広く測定する.in-situ X 線CT 測定の3D 構造から画像解析を行い,各圧力における粒子移動量,粒子変形量,破壊粒子割合を定量的に評価する.この結果より,粒子移動(①再配列) ,粒子変形(②弾性変形および③塑性変形) ,破壊粒子(④脆性破壊) の割合を評価する.S-S curve からわかるバルク圧縮特性とミクロでの圧縮素過程の寄与割合の関係性を明らかにする.粒子の移動や変形から圧縮素過程の発生頻度を評価し,粉体物性との関係性を明らかにする.最終的には実験により粉体内部における圧縮素過程の発生頻度が明らかとなっているため,シミュレーションと実験のバリデーションを行う.実験および数値解析の結果を踏まえて,粉体物性や異種材料の混合割合,圧縮力といった入力パラメータが圧縮成形体の最終的な構造に与える影響を議論,定量化することで塑性変形性の異なる微粒子混合粉体の緻密化メカニズムを解明する.
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