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2022 Fiscal Year Annual Research Report

イヌiPS細胞由来赤血球による新規輸血療法の実現に向けた基盤技術の構築

Research Project

Project/Area Number 22J14623
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionOsaka Metropolitan University

Principal Investigator

木村 和人  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2024-03-31
Keywordsイヌ / iPS細胞 / 赤血球 / 輸血 / ゲノム編集 / 中胚葉 / 造血幹細胞 / 赤芽球
Outline of Annual Research Achievements

多分化能と自己複製能を有するiPS細胞は、献血ドナーに依存しない赤血球の安定供給源となりうるため、輸血用血液不足の問題を解決できると期待されている。本研究では、ゲノム編集により、赤血球マーカーレポーターイヌiPS細胞株の樹立を行うこと、およびイヌiPS細胞を用いた効率的な赤血球作製法を明らかにすることを目的としている。現在までに以下の成果が得られている。
1. ゲノム編集によるレポーターイヌiPS細胞株の樹立:赤血球系譜マーカーのGYPA遺伝子座に対するガイドRNA、両側のホモロジーアーム配列、Cas9遺伝子およびGFP遺伝子を搭載したプラスミドベクターの構築に成功している。さらに、エレクトロポレーション法により作製したベクターをイヌiPS細胞へ導入することで、目的の遺伝子座へのノックインに成功したことが示唆される細胞クローンが得られている。
2. イヌiPS細胞の培養条件の検討:イヌiPS細胞から赤血球を作製するうえで、イヌiPS細胞培養条件の効率化は非常に重要である。そこで、ヒト幹細胞用市販培地および足場剤がイヌiPS細胞培養へ応用可能か検討した。その結果、StemFlexまたはmTeSR Plus培地とVitronectinまたはGeltrexの足場剤を組み合わせることで、週末の培地交換なしに効率よくイヌiPS細胞を培養可能であることが明らかになった。
3. 中胚葉への分化誘導法の検討:赤血球は中胚葉組織に由来する。そのため、赤血球への分化誘導の第1ステップとして、中胚葉への分化誘導法を検討した。その結果、GSK3β阻害剤を培地に添加して1日培養することで、中胚葉マーカーであるTBXT遺伝子発現が、GSK3β阻害剤の濃度依存性に増加することが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ゲノム編集に必要なプラスミドベクターの構築および遺伝子挿入に成功したと示唆される細胞クローンの作出に成功した。これにより、本研究の根幹ともいえるレポーターイヌiPS細胞株の作製に向け、大きく前進したと考えられる。現在、ゲノム編集により得られた細胞クローンの特性解析に着手している。さらに、イヌiPS細胞の培養条件について検討を行い、週末の培地交換が不要なイヌiPS細胞培養システムを見出した。さらに赤血球分化への第一ステップとして、その初期の前駆細胞である中胚葉への効果的な分化誘導条件の解明にも成功している。これらのことから、おおむね順調に研究が進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

ゲノム編集で得られた細胞クローンを赤血球へ分化誘導後、GFP発現について確認するとともに、シーケンス解析、オフターゲット解析を行う。さらに、多能性マーカーの免疫染色、in vitroにおける三胚葉への分化能、核型解析などを行うことで、iPS細胞としての特性が維持されていることを確認する。これにより、赤血球マーカーレポーターイヌiPS細胞株を樹立する。さらに、樹立した細胞株を用いて、造血幹細胞と赤芽球を経由し、赤血球を作製する。その際、それぞれの分化過程で重要な液性因子(SCF、TPO、EPO等)について、複数の濃度条件で赤血球への分化誘導を行い、作製されるGFP陽性の赤血球の数の比較によって最適な赤血球作製条件を検討する。次に、細胞外基質(Laminin、Fibronectin 等)、化合物(AhR、HDAC阻害剤等)について、単一および組み合わせによる赤血球作製への促進効果を上記と同様の方法で検討する。また、iPS細胞株の違いによって分化効率が異なる可能性があるため、これまで樹立した複数のイヌiPS細胞株を用いて赤血球を作製し、その効率の比較により最適なイヌiPS細胞株を選定する。
以上により、イヌiPS細胞を用いた効率的な赤血球作製法を明らかにすることを目指す。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Canine induced pluripotent stem cells efficiently differentiate into definitive endoderm in 3D cell culture conditions using high-dose activin A2022

    • Author(s)
      Tsukamoto Masaya、Kimura Kazuto、Yoshida Takumi、Sugiura Kikuya、Hatoya Shingo
    • Journal Title

      Regenerative Therapy

      Volume: 21 Pages: 502~510

    • DOI

      10.1016/j.reth.2022.10.002

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 輸血への応用に向けた赤芽球由来イヌiPS細胞の作製と赤血球への分化誘導2023

    • Author(s)
      木村和人, 塚本雅也,田中美有,桑村充,石原玄基,中西真人,杉浦喜久弥,鳩谷晋吾
    • Organizer
      第19回日本獣医内科学アカデミー学術大会
  • [Presentation] イヌiPS細胞の安定的かつ効率的なフィーダーフリー培養条件の検討2022

    • Author(s)
      長倉京哉、塚本雅也、木村和人、杉浦喜久弥、鳩谷晋吾
    • Organizer
      第165回獣医学会学術集会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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