2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of formation processes of interstellar nucleobase precursors by laboratory experiments for the organic compound synthesis and quantum chemical calculations
Project/Area Number |
22KJ2625
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
米津 鉄平 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | プラズマ放電 / 有機物合成実験 / ミリ波-テラヘルツ波分光診断 / 量子化学計算 / 電波天文 / 星間化学 / 星間分子 / 超伝導デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プラズマ放電による有機物合成実験に対するミリ波-テラヘルツ波の分光観測、量子化学計算による反応経路探索、電波望遠鏡による星間空間における観測を通して、星間核酸塩基前駆体の星間空間における形成過程を探ることを目的としている。 本年度は、主に量子化学計算による反応経路の探索と抽出、そして、プラズマ放電により形成した有機物の化学分析を推進した。量子化学計算を用いて探索した反応経路網から、活性化エネルギーの条件を設けて反応経路を抽出した。その結果、新たな分子構造と異性化の反応経路が見つかり、これまで星間空間での検出例がある分子構造だけではなく、他の異性体も形成される可能性があることがわかった。また、プラズマ放電により形成した堆積物に含まれる化合物を広範かつ高精度に同定するため、堆積物の測定結果と比較するためのLC/MS分析において検出が予想される標品の判定手法の検討を行った。この新たな手法によって、膨大な異性体がある標品の中から、化合物の特定のための標品を選定することができた。 昨年度行ったプラズマ放電有機物合成実験の実験装置のアップデート/評価と開発したミリ波-テラヘルツ波による新分光システムの解析精度や観測シーケンスの検証も行った。プラズマ放電の条件を変えながら長時間のモニタリング分光を実施した結果、微量分子種のスペクトルから温度や密度などの物理量を得ることに成功した。現在、投稿論文の準備を進めている。また、大型ミリ波望遠鏡LMT(Large Millimeter Telescope)50 m鏡に搭載した2 mm帯超高感度SIS受信機Band 4 Receiver(B4R)を用いて観測されたデータ解析を推進し、ダストプラズマの形成環境と大質量星形成領域の化学的/物理的環境との比較に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、開発を推進した量子化学計算による反応経路探索結果の解析プログラムにより、膨大な反応経路網から反応経路の抽出を行うことができた。現在は、その異性化反応の優位性を検討しており、堆積物の解析結果を踏まえ、形成経路の検証に向けて取り組んでいる。また、プラズマ放電有機物合成実験におけるミリ波-テラヘルツ波の新分光システムにより、異なる条件で放電した有機ダストプラズマ中の微量分子種の温度や密度などの物理量の導出手法を高精度化したため、投稿論文の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Liquid Chromatography /Mass Spectrometry(LC/MS)解析により、形成された堆積物を特定するとともに、改良したヘテロダイン分光システムにより、堆積物の形成過程に介在する微量分子のスペクトル情報から有機ダストプラズマの物理的/化学的環境を明らかにする。これらを踏まえ、量子化学計算により探索した反応経路を検証する。また、大口径単一鏡や干渉計などの電波望遠鏡を用いた観測結果と比較し、星間環境におけるこれらの分子種の反応経路を探る。
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Causes of Carryover |
投稿論文の投稿費用として次年度使用予定であるため次年度使用額が生じた。当該年度、投稿予定であったが、より詳細な検証を現在行っており、次年度投稿を予定している。 次年度は、上記投稿論文費用に加え、Liquid Chromatography /Mass Spectrometry(LC/MS)解析のための標品購入や、プラズマ放電実験に必要な窒素ガスや試薬などの消耗品、学会参加費用などへの使用を計画している。
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[Presentation] LMT 2 millimeter receiver system (B4R): Overview and results of demo-science2023
Author(s)
Kotomi Taniguchi, Ryohei Kawabe, Takeshi Sakai, Bunyo Hatsukade, Kunihiko Tanaka, Akio Taniguchi, Yuki Yoshimura, Tatsuya Takekoshi, Teppei Yonetsu, Masato Hagimoto, Hiroyuki Maezawa, Yoichi Tamura, Kotaro Kohno, David H. Hughes, F. Peter Schloerb & B4R/LMT collaboration
Organizer
URSI GASS 2023
Int'l Joint Research
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