2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J23009
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
岸田 尚樹 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 粉体シミュレーション / 離散要素法(DEM) / 機械学習 / 高速計算 / 粉体混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
粉体混合は,あらゆる産業分野の根幹を支える重要な粉体単位操作である.粉体の混合度(均一性を表す指標)は,これを加工して得られる最終製品の品質に大きく影響を及ぼすため,混合度を予測する手法が求められている.混合度の予測には,離散要素法(DEM)を用いた数値シミュレーションが広く用いられている.DEMは粉体を構成する個々の粒子について運動方程式を解くことで,粉体全体の非定常運動を求める手法である.この計算は極めて小さいタイムステップ(数マイクロオーダー)毎に行われ,粉体混合の全過程(数百秒オーダー)を計算するためには,膨大な数の時間発展計算を繰り返す必要がある.そこで本年度の研究では,DEMで計算した粒子運動データで学習し,これを用いて,極めて大きなタイムステップで粒子の運動を高速計算できる手法Recurrent Neural Network with Stochastically calculated Random motion (RNNSR)を開発した.RNNSRでは粒子運動挙動を平均成分とランダム成分を分割し,それぞれ機械学習モデル(RNN)とランダムモデル(SR)で予測した.そして提案したRNNSRを転動型ドラム混合機に適用し,混合挙動,粒子速度および計算速度の観点から妥当性を検証した.その結果,RNNSRによって混合挙動,粒子速度が精度よく予測できることを確認した.また計算速度をDEMと比較した場合,RNNSRによって高速で運動挙動の予測が可能であることが示された.本検討における成果は国内外の4件の学会で発表し,2件の受賞に至った.また本研究における成果は論文への投稿を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は生産規模の粉体プロセスを行うためのモデル構築である.本年度の研究において,粉体混合プロセスを高速計算するモデルを提案し,長時間の粉体プロセスを低計算コスト・高精度で予測することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で,粉体混合プロセスを高速で予測できるモデルRNNSRを提案できた.RNNSRは単分散・非付着性粒子を対象としたモデルとなっている.そこで今後は提案したRNNSRを様々な粉体混合シミュレーションに適用できるモデルとなるように拡張を行う.具体的には,プロセスの操作条件(容器回転速度),混合容器(高速撹拌型混合機)および粉体特性(付着性粒子や多分散粒子)を変更した計算を行う.モデルの適用では必要に応じて,粉体混合プロセスを精度よく予測できるモデルへとRNNSRの拡張を行う.具体的には,対象とする粉体運動挙動に適した平均成分とランダム成分に分割するデータの前処理方法を開発し,それぞれを機械学習モデルおよびランダムモデルで予測するモデルとする. またシミュレーションとの比較に用いる粉体プロセスの基礎的な実験データの取得を行う.大量粉体を用いた粉体プロセスを行う混合機によって,目標とするような大量粉体・長時間の粉体混合実験を行う.実験はハイスピードカメラで撮影することで,シミュレーションと精密な比較を行う.このシミュレーションデータを基に,粗視化モデル構築に向けた解析を行う.具体的には,多分散粒子の粒度分布の影響を考慮した粒子間の接触数を解析することで,粒子接触時における摩擦消散エネルギーを一致させる式を立式し,粗視化粒子の摩擦係数を導出する.導出した式から実際に粗視化モデルの妥当性を実験およびシミュレーションの両観点より検討する.
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