2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22KJ2627
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
岸田 尚樹 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 粉体シミュレーション / 離散要素法(DEM) / 機械学習 / 高速計算 / 粉体混合・偏析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において,DEMで計算した粒子運動挙動データを学習し,低計算負荷で粒子運動挙動を予測できるモデルRecurrent Neural Network with Stochastically calculated Random motion (RNNSR)を開発している.RNNSRでは粒子運動挙動を平均成分とランダム成分に分割し,それぞれ機械学習モデル(RNN)とランダムモデル(SR)で予測した.そして,RNNSRによって粉体混合プロセスを高精度・高速で予測できることが実証されている.以上の研究内容に関しては,本年度に国際学術誌へ投稿を行い,掲載済みとなっている. さらに本年度の研究では,物性の異なる粒子に着目したモデル構築を行った.一般的な粉体混合においては種類の異なる粒子を混合する.その際,粒子物性の違い(粒子径,粒子密度など)により,不均一な混合である偏析現象が生じる.これまでの研究で構築したRNNSRでは粒子物性が均一な粒子を対象としてモデル構築を行っているため,粒子物性が異なる場合に生じる偏析現象を扱うことはできない.そこで粒子径が異なる二成分系粉体に適用できる高速計算モデルを構築した.大小粒子で構成される二成分系粉体の運動挙動の計算を行い,粒子運動挙動における粒子径の影響を解析した.解析結果より,粒子径の影響を考慮した予測を行うため,RNNSRにおける平均成分を予測する機械学習における入力データに粒子径データを追加した.粒子径の影響を考慮したRNNSRを用いて,大小二成分系における運動挙動の予測を行い,妥当性を検証した.その結果,提案するモデルによって,大小二成分系において生じる偏析現象を精度良く予測できることを確認した.本検討を含めたこれまでの研究成果は依頼公演を含む,国内外4件の学会で発表を行った.また本研究における成果は論文への投稿を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は実プロセスに即した粉体プロセスを行うためのモデル構築である.本年度の研究において,大小二成分系における粉体混合プロセスを高速計算するモデルを提案し,長時間の粉体プロセスを低計算コスト・高精度で予測することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は実プロセスに即した時空間スケールでの計算モデルを構築することを目的としている.これまでの研究により,粉体混合プロセスを高速で予測できるモデルRNNSRを提案した.RNNNSRにより,実プロセスにおける時間スケールでの計算手法の構築が完了した.そこで今後は,実プロセスにおける空間スケールでの計算を行うため,DEM粗視化モデルの構築を行う.粗視化モデルでは,計算対象の粒子群を仮想的に大きな粒子で表現するスケーリングを行うことで,粒子数の大幅削減を行うことができる.これまでの研究において,粒子せん断流れを粗視化するモデルCGSFが提案をした.CGSFは粒子接触時における摩擦消散エネルギーを一致させるスケーリング式により,粉体混合プロセスを精度良く粗視化することが出来る.しかしながら,CGSFは単分散粒子を対象としたモデルであり,粒子径の異なる大小二成分系粉体などに適用することが出来ない.そこでCGSFを粒子径が異なる粉体を扱う粉体混合シミュレーションに適用できるモデルとなるように拡張を行う.具体的には,粒子径の影響を考慮した粒子間の接触数や粒子相対速度を解析することで,粒子接触時における摩擦消散エネルギーを一致させる式を立式し,粗視化粒子の摩擦係数を導出する.導出した摩擦係数より,二成分系における粗視化モデルを構築し,充填条件や回転速度など様々な条件下における構築した粗視化モデルの妥当性を検証する.
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