2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機/無機2次元半導体接合を機軸としたトポロジカル絶縁体/超伝導ヘテロ接合の創出
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22J23059
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松山 圭吾 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 原子層物質 / 有機無機ハイブリッド / 超伝導 / トポロジカル絶縁体 / 分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、トポロジカル物質による擾乱に強い量子ビットを用いた量子コンピュータへの関心が高まっている。トポロジカル物質として、遷移金属カルコゲナイド(TMDC)が注目されている。TMDCはサブナノスケールの厚みを有する2次元半導体材料であり、結晶構造に起因した特異な電子状態から、半金属、トポロジカル絶縁体、超伝導と多様な物性を示す。TMDCのトポロジカル絶縁体相は室温動作も期待されるが、物質が熱力学的に不安定であるため定量的な発現の困難さが大きな課題として存在する。本研究では、単層および少数層TMDCと有機分子の接合界面での相互作用に着目することで、新たな設計自由度でトポロジカル絶縁体・超伝導デバイスを創出できると考え、研究を進めている。 本年度は、ドーパントとなるレドックス分子とTMDC界面で生じる表面電荷移動を基本に、分子の溶媒和や基板へのソフトマター修飾を活用し、超伝導転移を達成しうる高濃度ドーピング法を提案することを目指した。検証方法として、TMDCをチャネルとしたMOSFETの電気特性、およびラマン分光測定により、TMDCの電子濃度の増加について詳細を調べた。条件検討の結果、TMDC表面へドーパント分子を高密度に堆積させることに成功し、従来の処理法よりも2-3倍程度高い電子濃度が示唆された。現在、低温環境下での伝導を検証するために、MOSFETデバイスの作製およびその改良に着手している。加えて、レドックス分子/TMDC接合構造に起因した不均一なポテンシャル形成に伴う、特異な伝導挙動および磁気応答を見出しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子間の相互作用に着眼したTMDへの高濃度電子注入の達成を実現しており、物性探求に向けた低温での電気特性測定の実施も進めている。これらは当初の予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
レドックス分子/TMDCヘテロ構造では、外部電界の印加なしにスタンドアロンな状態でTMDC最上部に電子が溜まった特殊な系であると想定される。加えて、伝導測定から、本構造に起因した特異な伝導挙動を見出しつつある。他のドーピング手法と(イオン性液体)との比較を実施しつつ、本事象の特異性に関する検証を超伝導観点観測と併せて実施する。
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