2022 Fiscal Year Annual Research Report
加齢による細胞外小胞の変化:心血管疾患の新たな病態機序
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21J21328
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤岡 友星 北里大学, 獣医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 加齢 / 細胞老化 / 心線維芽細胞 / ドキソルビシン / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外小胞(extracellular vesicles: EV)は様々な細胞から分泌される脂質二重膜で構成された球状粒子で、細胞間情報伝達を担う機能性粒子として近年注目されている。本研究課題の目的は、「加齢・細胞老化関連の心血管疾患発症・進展メカニズムを解明する為に、EVを介した病態制御機構をin vitro細胞レベルおよびin vivo生体レベルで解析する」ことである。研究代表者はこれまでラット新生仔由来心線維芽細胞(neonatal rat cardiac fibroblast: NRCF)においてドキソルビシン(doxorubicin: DOX)処置により細胞老化を誘導し、そのNRCF培養上清からEVを単離し、解析を進めてきた。今年度は、細胞老化誘導によりNRCFから放出されるEVの病態生理学的意義の解明を目的として検討を行った。以下に今年度の研究結果の概要を示す。 1) NRCFにおいて、DOX未処置のNRCF培養上清由来EV処置によって細胞数が増加することを見出した、2)一方で、DOX処置によって細胞老化を誘導したNRCFの培養上清由来EV処置によって、NRCFの細胞数・タンパク質濃度が減少することを見出した、3) NRCFにおいて、DOXにより細胞老化を誘導したNRCFの培養上清由来EV処置によって特定のオートファジーマーカータンパク質の発現が増加することを見出した。 その他、4)ラット新生仔から心筋細胞を単離し、NRCF以外の心臓構成細胞に及ぼすEVの影響を検討するための準備を進めている。以上を含む研究結果を複数の学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究成果をまとめて、学会発表を行ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞老化におけるEVの変化が近傍の細胞に及ぼす影響に着目した検討を継続するとともに、生体レベルの加齢・老化におけるEVの変化についての検討も進め、それらの成果をまとめて公表することを目指す。
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