2023 Fiscal Year Annual Research Report
双対共変な新しい超重力理論によるド・ジッター宇宙の網羅的探索と沼地問題
Project/Area Number |
22KJ2651
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森 遥 北里大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | Double Field Theory / 双対性 / 超弦理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ゲージ化超重力理論において(準)安定なド・ジッター(de Sitter, dS)真空解を網羅的に構築し、沼地予想に寄与することで現実的な宇宙・素粒子モデルの可能性を広げることである。 今年度は、T双対性共変かつheteroticな理論として知られるGauged Double Field Theory (GDFT)に着目し、その理論構造について調べ、真空解を網羅的に調べるための道具の整備を行なった。過去の研究から、O(D,D)対称性を持ったDouble Field Theoryでは、内部にDrinfel'd doubleという二つのd次元の代数の直和構造が隠れていることが明らかとなっていた。一方で、GDFTにおいて同様の代数構造、特に直和で書けるような内部構造が存在するかどうかはこれまで不明だった。そこで、GDFTで扱っている2D+n次元の拡張された時空間を、まずは幾何学の問題として取り扱い、product多様体として解釈した。そして、その(2d+n)次元の幾何学の上で、GDFTのもつゲージ対称性の代数構造がどのように再現されるかを調べた。その結果、d次元の代数構造二つに加えて、n次元の代数構造が合わさった、三つの構造の直和となっていることがわかった。今後の展開としては、ヘテロティック版のPoisson-Lie T-dualityを考えることができる。Poisson-Lie T-dualityは、群多様体上でDrinfel'd doubleを考えることで実行可能な(真空)解の構成方法(solution generating technique)である。これは、申請者のこれまでの研究結果によってヘテロティック版のDrinfel'd double (triple)構造を明らかにしたことで、初めて実現可能となった道筋である。
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