2023 Fiscal Year Annual Research Report
らせん渦構造効果に着目した汎用乱流モデル開発と制御への展開
Project/Area Number |
22KJ2660
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
稲垣 和寛 同志社大学, 理工学部, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 乱流 / 乱流モデリング / Reynolds平均モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はらせん渦構造に着目した乱流のモデリングと制御への展開を目的とした.本年度は,昨年度までの成果である,サブグリッドスケール乱流モデルにおける非等方性の効果に関して国際会議で発表し,論文を出版した.また,より幾何的に単純な系における回転運動と乱流の相互作用について研究を遂行した.対象とした系は独立に回転する同軸二重円筒の摩擦により駆動される円筒間の流れ(Taylor-Couette流れ,TC流れ)である.特に内外円筒が同方向に回転する場合,高Reynlds数において境界層とバルクとがともに乱流化し,かつ遠心力不安定性に起因する秩序的な渦構造(Taylor渦)が消失することが知られる.したがって,回転や流れの曲率の効果を伴う乱流の性質を理解する上で基礎的な実験装置となっている. TC流れでは,バルク付近で平均の角運動量が一定となる特徴的な平均速度分布が形成される.本研究では,角運動量一定を実現するReynolds平均的乱流モデルの開発を試みた.その結果,乱流応力の輸送方程式における移流項に由来する流線曲率の効果が平均角運動量分布の形成に不可欠であることが明らかになった.本成果は国内学会2件にて報告した他,2024年度開催の国際会議にて発表予定である.また,本成果を汎用的な乱流モデルに拡張するため,乱流応力テンソルの共変性(covariance)を保持するモデル表現の開発を行った.本成果をまとめた論文を現在執筆中である. 本年度の成果は,らせん渦構造や制御への展開に対する基礎に位置づけられるものである.本成果により,回転運動とらせん運動それぞれによる効果を乱流応力輸送の観点から明確に分離できることが明らかとなった.さらに,曲率と回転の効果に関して共変性を通じて物理的に客観的な議論が可能となった.これは,回転や流れの曲率の効果を乱流制御へ応用する際の物理的解釈を与えるものとなる.
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