2021 Fiscal Year Annual Research Report
消化管上皮修復を可視化する新規プラットフォームの構築
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21J21096
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽生 ひかる 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | オルガノイド / 腸管上皮幹細胞 / 炎症性腸疾患 / 消化管上皮修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管上皮は絨毛・陰窩構造からなり,陰窩底部に存在する幹細胞から分化した細胞が絨毛部に移動し,多くの細胞が1週間も経たないうちに絨毛の頂部から脱落するというダイナミックな増殖・分化サイクルを有する.このような特徴を模した消化管上皮の体外(in vitro)培養は長年困難であったが,幹細胞ニッチ因子の同定により,小腸幹細胞から多様な分化細胞を含む三次元構造体「オルガノイド」培養法が確立され,様々な分野への応用が加速している.さらに近年では,オルガノイド二次元培養法の開発が進み,当研究室では,絨毛構造を模したin vitro培養系の構築に成功した.本研究は,この系をさらに改善し,消化吸収などの機能を有した,より消化管上皮らしいin vitro培養系を開発することを目的とする.さらに,この系を応用し,近年増加している炎症性腸疾患の病態を解明するため,消化管上皮の修復機構を検証するin vitro培養系への応用を目指す. 今年度は,消化管上皮修復モデルに応用可能な培養方法の最適化を行った.オルガノイド二次元培養では,拡大時には三次元的に培養しているオルガノイドを二次元的に播種し,オルガノイドの管腔側・基底膜側に培地を添加して振とう培養することにより,絨毛様構造が生じる.その際に使用する器材を最適化することにより,消化管の絨毛構造を模した絨毛様構造形成効率の改善に成功した.また,分化誘導培地に使用するニッチ因子の検討を行うことにより,消化管上皮分化マーカーの発現上昇に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において,当初不安定であったオルガノイド二次元培養における絨毛様構造の形成効率を,培養に使用する器材を変更することによって大幅に改善した.また,分化誘導条件を検討することにより,機能解析に必要な分化マーカーの発現を確認し,二次元培養の最適化はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
培養手法の改善により,絨毛様構造形成効率の改善,消化管上皮分化マーカーの発現上昇に成功したが,実際に機能解析を行うことが今後の課題である.既存の株化細胞と比較し,機能的にもより実際の消化管に近いin vitro培養系を開発するため,培養条件のさらなる改変,機能解析アッセイ条件の最適化などの検討を行っていく.また,消化管上皮の修復機構を検証するin vitro培養系へと応用するため,サイトカイン等を添加することで,それぞれのフェーズにおける上皮修復の再現を模索する.
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Remarks |
慶應義塾大学坂口光洋記念講座(オルガノイド医学)ホームページ https://organoidmed.org/
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Research Products
(1 results)