2023 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌オルガノイドを用いた小細胞肺癌の分子進化過程・抗癌剤耐性化メカニズムの解明
Project/Area Number |
22KJ2670
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福島 貴大 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | オルガノイド / 小細胞肺癌 / Precision Medicine |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)世界最大の小細胞肺癌オルガノイドライブラリーを樹立した: 様々な培養条件の検討を行い,効率的な小細胞肺癌オルガノイド樹立法を開発した.少量の臨床検体からも樹立が可能になるとともに,血液中を循環している癌細胞からもオルガノイド樹立することに成功した.その結果,患者に負担をかけずに採血のみでオルガノイド樹立が可能になった(特許番号:PCT/JP2022/034701). 既に30人の小細胞肺癌患者からオルガノイドを樹立し,世界最大のオルガノイドライブラリーを構築した. (2)オミクス解析により小細胞肺癌の分子異常を把握し, IGF1R阻害薬が有効なサブグループを同定した: 全エクソーム解析では既報の小細胞肺癌に矛盾しない遺伝子変異が検出された他,新規治療標的となる融合遺伝子を同定した. RNA/ATAC解析では小細胞肺癌の転写因子調節による不均一性を明らかにすると共に,生物統計解析により小細胞肺癌発癌プロセスの多様性理解に繋げた. また, 詳細なニッチ依存性解析により特定のサブタイプ(POU2F3/YAP1)がIGF1R経路に強く依存していることを明らかにした. さらに, それらの小細胞肺癌に対して, IGF1R阻害剤が選択的に奏功することをin vitro, in vivo双方での薬剤感受性解析で実証した. 本知見は,今までバイオマーカーを用いた個別化医療が行われていなかった小細胞肺癌領域に,新たな個別化医療を提案するものであり,今後小細胞肺癌患者の臨床現場を大きく変える可能性を有している. 現在,同定した治療候補分子について新規の治療法につなげるべく,臨床試験などへの導出の可能性を探っている.
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