2022 Fiscal Year Annual Research Report
幼児間相互交渉がコミュニケーション行動の発達と神経基盤に与える影響の解明
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21J40236
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白川 由佳 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | コミュニケーション行動 / 脳波計測 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児間相互交渉の経験がコミュニケーション行動の発達に与える影響について、 (1)相互交渉の影響によるコミュニケーション行動の変化を検出可能な定量行動評価系を確立し、(2)遺伝的背景の差がコミュニケーション行動にもたらす影響の評価を行った上で、(3)保育場面における相互交渉の量的・質的な差異がコミュニケーション行動および神経機能に与える影響の評価を行うことによって、幼児間相互交渉の経験がコミュニケーション行動の発達に与える影響について、行動学的研究・神経学的研究の両面からの解明を目指すものである。2年目にあたる2022年度は、前述の(1)および(2)について取り組み、①脳波計測による神経機能解析実験のための条件検討および予備検討の実施と、②遺伝的要因と神経活動およびコミュニケーション行動との関連性の検討を進めた。 ①については、研究機関の異動が生じたため、新たな研究機関における実験環境の構築行った。物的環境面では、ダミー実験を通して再現性および信頼性のある脳波計測環境を確立した。運用面では、ヒトを対象とした臨床研究の申請を行い、承認を得た。また、予備的検討として、外的刺激が認知機能に及ぼす影響について成人を対象とした検討を行った。その結果、特定の聴覚刺激により、聴覚記憶形成が阻害される可能性が明らかとなった。 ②については、2021年度の成果を元に、コミュニケーション行動の予備的検討を発展させ、ヒトの運動機能に関わる神経機能と遺伝子多型との関連性検討を進めた。遺伝子的背景、脳波計測による神経活動の評価、行動実験を実施し、その関連性を検討した。その結果、脳内ドーパミン濃度の低さと運動反応抑制にかかる神経活動の低下が重畳する場合に、協調運動機能の低下が生じることが明らかになった。本成果については、学術誌へ原著論文として投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響が大きく、主に被験者を対象とした実験が当初の予定通り遂行できず、十分な被験者数が確保できなかった。そのため、現在までの進捗状況は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
行動定量解析系の構築に関しては、2022年度に引き続き検証実験を進め、十分な被験者数の確保を目指す。保育場面における相互交渉の量的・質的な差異がコミュニケーション行動および神経機能に与える影響の評価のために、保育施設へ直接出向き、保育環境下での相互交渉観察を行うと共に、観察期間前後における行動評価・神経機能解析実験および遺伝子型解析を行う計画である。
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Research Products
(5 results)