2023 Fiscal Year Annual Research Report
幼児間相互交渉がコミュニケーション行動の発達と神経基盤に与える影響の解明
Project/Area Number |
22KJ2680
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白川 由佳 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 脳機能解析 / 神経活動 / 遺伝子多型 / コミュニケーション行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児間相互交渉の経験がコミュニケーション行動の発達に与える影響について、行動学的研究・神経学的研究の両面からの解明を目指すものである。最終年にあたる令和6年度は、(1)遺伝的背景の違いが脳機能・神経活動および行動応答に及ぼす影響の検討、及び、(2)コミュニケーション行動に関わる神経基板についての検討を進めた。 (1)令和4年度に引き続き、ヒトの運動機能に関わる神経機能と遺伝子多型との関連性について解析と検討を進めた。その結果、遺伝子多型の差異に基づく脳内ドーパミン濃度の低さと運動反応抑制にかかる神経活動の低下が重畳した場合に、協調運動機能の低下が生じることを明らかとなった。これらの成果は学術集会等において発表を行い、若手優秀演題賞を受賞した。また、国内学術誌の原著論文として採択された。 (2)コミュニケーション行動に関わる神経基板について、脳波計測を用いた神経機能解析による検討を進めた。具体的には、自身もしくは他者が投てき運動を行っている最中の映像を視聴中の神経活動について脳波計測を行った。健常成人を対象とした実験結果、視聴した映像が自身のものであった場合、8~13Hz帯域のパワー値が他者映像を視聴した場合に比して増強することが示され、自他の視点の違いにともない、神経活動の特徴が異なることが明らかとなった。本成果は、現在学術誌への原著論文として投稿予定である。 研究期間全体を通じて、主に新型コロナ感染症による所属機関や研究協力者の行動制限等、研究計画への影響は否めないものであった。そのため、当初計画通りの研究遂行は困難であったが、コミュニケーション行動に関わる行動表現系と神経基板の関係性の一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)