2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規心臓線維芽細胞サブセットの機能解析と心筋梗塞後心不全の新たな治療戦略の開発
Project/Area Number |
22KJ2695
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高 聖淵 慶應義塾大学, 医学研究科(信濃町), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋梗塞 / 炎症 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度において心臓線維芽細胞におけるSipa1の発現が心筋梗塞後の急性期における炎症を制御していることが示し、その機構を解明する目的でSipa1 flox/flox Tcf21Cre/+ tdTomatoレポータマウスの心筋梗塞モデル用いた検討により線維芽細胞特異的にSipa1をノックアウトした群の梗塞巣において、梗塞後1日目より心臓線維芽細胞におけるCcl2, Ccl7, Csf2の発現が低下していることが判明した。さらに、単球、マクロファージを単離して遺伝子変化を検討したところ、梗塞後1日目では遺伝子発現パターンに差がなかったのに対し、梗塞後3日目では有意にノックアウト群でIl1b, Ccl2, Ccl7, Mmp9等の炎症マーカーの発現抑制が確認された。2023年度において、骨髄由来マクロファージにレンチウイルスによるSipa1ノックダウン群の心臓線維芽細胞の培養上清やCSF2中和抗体を含んだ心臓線維芽細胞の培養上清を用いて培養し、遺伝子変化を観察したところ、対照群に対し炎症マーカーの発現の低下が再現された。以上から、梗塞巣における心臓線維芽細胞は、CCL2やCCL7の発現で単球を誘導しているだけでなく、CSF2の発現を通し、局所の炎症反応を増幅させていることが推察された。 2022年度ではSipa1がどうCcl2, Ccl7, Csf2の発現を制御しているかを調べるため、心臓線維芽細胞を単離し、Sipa1をノックダウンしてRNA sequenceによる遺伝子発現の差異を検討した結果、Ras系のシグナル分子であるRasgrp2の発現に差があることを見出した。2023年度からウエスタンブロットによる検討を経てSIPA1はMAPK経路の中でもMEKK1-MKK4/7-JNK-cJunの経路を経てCcl2, Ccl7, Csf2の発現を正に制御していることを見出した。
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