2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J13607
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金村 佳範 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 楕円曲線 / 有理点問題 / 局所大域原理 / 連分数展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
1つ目の研究課題(研究目的の(a))について、当初考えていた4次曲面族では既存の手法の改良のみでは有理点を持つ部分族の割合の下からの評価の改良を見込めないことが判明した。一方、研究の過程にて、複数の特殊な曲線族において有理点を持つ部分族の割合を評価することが出来た。現在は、曲線族をより広い族にして有理点を持つ部分族の割合を評価出来る方針も得られているため検討している。更に、得られた結果を用いて当初考えていた4次曲面族で有理点を持つ部分族の割合を評価出来ないかについても検討している。 また、2つ目の課題(研究目的の(b))について、元々考えていた4次曲面族で新たに有理点を持たない族を構成するには至っていない。しかし、研究を進めていく中で、より高次の曲面族にて有理点を持たない族を構成するために必要になるBrauer群の元の族の候補を見出すことが出来た。現在は、構成したBrauer群の元の族を用いて、有理点を持たない曲面族の構成を試みている。 更に、当初の計画にはなかったが、実二次無理数の整数係数連分数展開表示と深く関わりのあるPCF多様体上の整数点に関する研究を行った。結果、特殊なPCF曲面上の整数点を全決定した。更に、その結果を用いて、ペル方程式の整数解への応用も考察した。以上の結果は既に論文にまとめ、プレプリントとして公開し、国際論文誌へ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次曲面族において有理点を持つ部分族の割合を評価するという課題に取り組むことを通して、当初予期していなかった方針を取ることになったものの、いくつか新規の結果を得ることが出来ている。また、こうした結果はまだ当初目標としていた4次曲面族において有理点を持つ割合の評価に繋がる余地がある。以上を踏まえて、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の一つ目に関して、これまで得られた結果をすみやかに論文にまとめ公表する。同時に、得られた結果を用いて当初考えていた4次曲面族で有理点を持つ部分族の割合の下からの評価が得られないか引き続き検討する。また、当初の方針に即して4次曲面族で有理点を持つ部分族の割合を評価する場合はLage(2022)やThorne-Romano(2018)で扱われている手法が有効であることが判明した。そこで、一連の先行研究の手法が今回の課題にも適用できないか検討する。 研究課題の2つ目に関して、引き続き構成したBrauer群の元を用いて高次の曲面族にて有理点を持たない族を構成できないか検討する。また、現在取り組んでいる研究を踏まえて、元々考えていた4次曲面族でも有理点を持たない部分族の割合が下から評価できないか検討する。
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