2022 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子と温度応答性ポリマーを用いたアリ群知能の物理実装
Project/Area Number |
22J14134
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中山 牧水 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 群知能 / アクティブコロイド / 相変化材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアリコロニー最適化にインスパイアされたナチュラルコンピュータの開発を目指す。研究開始時においては、金ナノ粒子の光熱効果によって環境の温度相転移ポリマーをゾル化し低粘度化する過程を、アリがフェロモンを塗布するプロセスに対応させ、粒子間にフェロモン相互作用を実装する想定であった。しかし適切な粘度設定(ポリマー濃度に依存する)が困難であったことやアリの運動性を反映する物理現象が欠如していることが判明し、方針を改めることにした。新たなスキームとして、異質材料で構成されるヤヌス粒子と固体相変化材料Ge2Sb2Te5(GST)を用いることを提案し方針転換した。金属と誘電体で構成されるヤヌス粒子は交流電界を印加すると、粒子表面に発生する非対称な電気浸透流により液中にて自己推進運動を示す。これをアリの自律的な運動に対応させる。またGSTはアモルファス相と結晶相の2状態を有し、これらの間を可逆的に相変化させることができる。例えばアモルファス相をフェロモンが無い状態、結晶相をフェロモンが有る状態に対応させることができる。アモルファス状態をアニールすると結晶相に変化し、この過程で電気抵抗率が低下し交流電気浸透流が発生する。この浸透流によってフェロモン誘引を導入する。以上のスキームによって、コロイド粒子間にフェロモン相互作用が実装された。また交流電界周波数依存性を利用することで、フェロモン感度をコントロールすることができ、結果的に異なる集団運動状態の創発が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、想定よりも早い段階でフェロモン相互作用をアクティブコロイド-相変化材料系に実装することに成功した。また交流電界周波数依存性を利用することで、フェロモン感度をコントロールすることができた。以上のパラメータを振ることで、ナチュラルコンピュータとして動作する条件を探索することが可能だと期待される。一方で、実験的に粒子濃度を制御することは困難であり、サンプル構造の検討の余地がある。またGSTの相変化は不揮発的であり、フェロモン蒸発を実装することができないため、材料検討の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、レーザ強度や電界周波数を制御することでアクティブコロイド集団に知性が創発される条件の探索を行い、ナチュラルコンピュータの開発を目指す。またサーキット構造を作製しヤヌス粒子運動領域を制限することで、粒子濃度を固定化させる。加えて揮発的相変化をする材料を基板に用いることで、フェロモン蒸発を実装する。
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[Journal Article] Tunable pheromone interactions among microswimmers2023
Author(s)
Bokusui Nakayama , Hikaru Nagase , Hiromori Takahashi , Yuta Saito , Shogo Hatayama , Kotaro Makino , Eiji Yamamoto , Toshiharu Saiki
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: 120
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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