2023 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子と温度応答性ポリマーを用いたアリ群知能の物理実装
Project/Area Number |
22KJ2707
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 牧水 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 群知能 / アクティブコロイド / 相転移ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアリコロニー最適化にインスパイアされたナチュラルコンピュータの開発を目指す。 前年度は、金属キャップ/誘電体コアで構成されるヤヌス粒子と固体相変化材料Ge2Sb2Te5(GST)を用いることで、アリがフェロモンを塗布するプロセスを模倣し、粒子間にフェロモン相互作用を実装を行った。本スキームによって、コロイド粒子間にフェロモン相互作用が実装され、また交流電界周波数依存性を利用することで、フェロモン感度をコントロールできることが実証された。結果的に異なる集団運動状態の創発が確認され、本成果をまとめ論文化を行った。 当初、ポリマーを用いた揮発的な相転移を用いたフェロモン模倣を想定していたこともあり、当該年度は温度応答性ポリマーPluronic F127を活用した。ヤヌス粒子に高いパワーのCWレーザを照射すると金属キャップで加熱が起こる。この昇温によってF127はゲルからゾルに変化する。するとヤヌス粒子周辺には不均一な粘度場が形成され、これにより粒子が粘度の低い方向へ金属キャップを先頭にしながら自己推進する運動が観察された。このように自身の周囲に非対称な場を開拓的に生み出し駆動する運動をここでは自己開拓泳動と名付け、またこれは胃壁の組織を破壊しながら遊泳するピロリ菌の運動モデルになることが期待される。さらにヤヌス粒子の運動の向きはレーザパワーに依存し、さらなる高い出力下においては誘電体ボディを先頭に自己推進する。この現象はむしろ既によく解明されており、自己熱泳動によるものである。このようにレーザパワーを変化させることで粒子の自己推進方向をスイッチングできることを明らかにした。粒子制御の新たな手法としての応用が期待される。
|