2023 Fiscal Year Research-status Report
Examination of the psychophysiological mechanism of facial skin blood flow in emotion processing and its clinical application
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22KJ2717
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石川 直樹 慶應義塾大学, 社会学研究科(三田), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 顔面皮膚血流 / 社交不安 / ほてり / 社会的交流 / 内受容感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,2022年度に引き続き,対人場面における顔面皮膚血流(顔血流)の機能について検討を行った.特に,他者観察時の顔血流変動の大きさと,社交不安や赤面恐怖に関する傾向との関連性をより詳細に検討した.その結果,これらの傾向が強い人は,そもそもの顔血流の反応性が高いのではなく,対人,社会的場面に限定して顔血流の反応性が高いことが明らかになった.つまり,感情観察時における顔血流変動の機能においては,引き続き社会的な要素に関連した機能を検討していく必要性が示唆された. 加えて,これまでの研究で明らかとなった,他者の感情の観察時における顔血流の変動が,自身の赤面へのとらわれや社交不安傾向を高く持つ人ほど顕著であるという関係を踏まえると,これらの人物の,対人場面における顕著な顔血流の変動が潜在的,または顕在的に知覚され,その知覚によって社交不安症状が誘発されるという可能性がある.この顕著な顔血流変動の知覚,処理という点には,内受容感覚という観点が重要となる.特に,赤面恐怖症や社交不安症においては,顔の温度変化に対する内受容感覚という視点が重要であると考えられるため,この内受容感覚という視点でも研究を行った.ここでは内受容感覚の一側面である身体反応への注意傾向に注目し,全身に対する内受容感覚に対して,顔の温度変化に対する注意傾向は独立していることが示された.このことから,従来内受容感覚の指標として用いられてきた心拍という指標だけではなく,顔の温度変化に特化した内受容感覚の指標を考える必要が示されたといえる.この顔の温度変化に関する内受容感覚の測定方法は2023年度に作成し,現在妥当性や信頼性の検討を進めているところである. これらの結果は学会で発表し,広く議論を行ったほか,他者感情を観察している際の顔血流の動態については,論文を執筆し,国際誌に投稿,採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,他者の観察時における顔血流動態について,健常群と,社交不安に関連した臨床群の2群における比較研究を計画していた.臨床群を用いない研究においてはすでに実験の準備が整い,2024年5月ごろより実験開始することが可能である.一方で,社交不安群(臨床群)のリクルートが難航している.難航の理由としては,これまで病院でのリクルートを計画していたものの,該当する患者が少なかったことがあげられる.これは日常的に社交不安症状に悩みは抱えている人は多いものの,病院には行かない,また自身で対処方略をすでに獲得しているというようなことが考えられる.このことから,2024年度は病院でのリクルートに限らず,質問紙による厳密なスクリーニングを所属機関において広く行い,リクルートを進めることで参加者を確保していくことを考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度においては,他者の感情観察時における顔血流動態について,その社交不安との関連についての研究の論文化を目指す.加えて,顔血流変動と内受容感覚との関連について,2023年に得られた結果についても論文化を行う. 社交不安や赤面恐怖をもつ臨床群に対する研究が遅れているが,これは病院等での患者のリクルートが難航していることが1つの原因である.社交不安症状に悩みは抱えているものの,病院には行かない,また自身で対処方略をすでに獲得しているというようなことが考えられるため,本年度は所属機関におけるリクルートを行い,質問紙による厳密なスクリーニングを行うことで,臨床群と健常群の比較を行うことを計画している.この方法によって参加者のリクルートの難航を解消し,他者感情観察時の顔血流動態の比較,およびその機能の検討を進めていくことが可能と考える. 加えて,2023年度においては,他者の感情観察時の顔血流変動の機能や,臨床応用の可能性を考えるうえで,顔血流や顔の温度変化に限定した内受容感覚という視点が重要であることが示唆された.2024年度は作成した顔血流,顔温度に関する内受容感覚の指標を用いて,上記の顔血流の機能や社交不安症,赤面恐怖症のメカニズムを検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
2023年度中に実験を開始する予定であったが,為替変動の影響から,国際誌への論文掲載費用の変動が想定されていた.論文掲載料の確定を待って実験を開始しようとしていたが,この論文掲載料の確定が12月ごろになってしまい,その後,実験参加者のリクルートが想定通りに進まなかった.そのため,本来,上記の次年度使用額は実験に対する参加者の謝金として使用される予定であったが,1月からのリクルート上,参加者が集まらず,次年度使用額として生じた. 2023年度に生じた次年度使用額は,2024年より実施する心理学実験の謝金として使用を計画している.
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Research Products
(8 results)