2023 Fiscal Year Research-status Report
Soviet Diplomacy and the Post-Cold War International Order, 1985-1991
Project/Area Number |
22KJ2718
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀田 主 慶應義塾大学, 法学研究科(三田), 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 国際関係史 / ソ連外交史 / CSCEプロセス / 「欧州共通の家」構想 / 冷戦終結 / 東西交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ロシアにおいて二度の史料調査を実施した。これらはそれぞれ、2023年9月と2024年2月に、モスクワのロシア連邦外交政策公文書館(AVPRF)を訪問することを目的として三週間ほど現地に滞在する内容となった。当該文書館では、本研究計画が扱う1985年から1991年までにおける、CSCEプロセスに関連するソ連外務省の内部文書を調査した。その成果は2023年度内に発表した研究の一部に反映され、2024年度以降の研究において本格的に活用される予定である。 2023年6月、本研究の一部を構成する論文「EC・コメコン共同宣言をめぐる東西交渉、1985-1988年:ミハイル・ゴルバチョフのイニシアティブを中心に」を『法学政治学論究』第137号に掲載した。当該論文は、本研究が扱う冷戦終結期の東西交渉を、とりわけ経済協力という側面から検討したものである。 2023年11月、福岡国際会議場で開催された日本国際政治学会2023年度研究大会において、「ソ連外交と人権:CSCEウィーン再検討会議における東西交渉、1986-1989年」と題する報告を行った。当該報告は、人権という切り口でCSCEプロセスの展開を分析した内容であり、2024年度内に論文として発表する予定である。 2023年12月、慶應義塾大学で開催された国際安全保障学会2023年度研究大会において、「冷戦後欧州安全保障秩序の模索:CFE条約をめぐるソ連外交」と題する報告を行った。当該報告は、通常戦力の削減交渉に着目した内容であり、同じく2024年度内に論文として発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、主に安全保障と人権の側面から、1990年までの期間におけるソ連外交の展開を分析した。これらの成果は、上述の通り、論文執筆や学会報告という形で既に発表がなされている。また、依然として不安定な情勢が続くなかではあるが、今年度においてはロシアでの史料調査を実施できたことで、研究に大きな進展が見られた。昨年度までに、英国・イタリア・チェコ・米国の4カ国において史料調査を実施済みであることから、今後はロシアの史料を含めた調査結果を十分に活用する予定である。 2024年度に主に分析を行う1989-1991年という時期は、ヨーロッパ情勢において極めて多くの出来事が立て続けに起きた期間となっている。その前段階にあたる、1989年までに関する分析の大部分を2023年度内に終えていることから、現時点では本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、軍備管理・経済協力・人権という3つの側面から、1991年末までのソ連外交に関して研究を進める。分析に必要となる史料については既に収集済みであるため、今年度は新たな調査は行わず、手元にある史料の解析に専念する。引き続き、研究成果を学会報告や論文執筆という形で発表しつつ、2024年度内で本研究計画を完遂させる。
|