2022 Fiscal Year Annual Research Report
Soft robot control based on electrohydrodynamic mechatronics
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21J23563
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑島 悠 芝浦工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 電気流体力学 / セルフセンシング / ポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では”EHD(電気流体力学)ポンプによる電気と流体の変換”および、”流体回路を組み合わせた電気流体回路”を目指している。2021年度は”EHDポンプの外部から流入する流量に対する電流応答調査”を実施した。その原理的検証、モデル構築や性能調査を実施した。理論的検証から、拡散電流と流量の関係性を利用した、新たな検知メカニズムを提案した。2022年度は本研究を更に発展させ、自己流量検知型EHDポンプの開発を行った。これにより、EHDポンプ自体の出力流量のモニタリングが可能になった。既存の流体システムはその流量検知に、新たにセンサを追加する必要があるが、自己流量検知型EHDポンプはその電流値から流量の推定を行うので、新たなセンサを実装する必要がなく、そのシステムを小型に保つことができる。本研究では自己流量検知型EHDポンプのセンシングモデル構築およびその感度、繰り返し性、理論との整合性を評価した。また、ウェアラブル冷却、加熱応用に向けて、制御電源回路と自己検知EHDポンプを小型に設計し、ワイヤレス化を実現した。これにより、ユーザーはデバイス収納時において、スマートフォンを通じて冷却、加熱、チューブの閉塞のモニターが可能である。さらに、”流体回路を組み合わせた電気流体回路”に向けて、電極材料や電極ジオメトリの最適化を行うことで、高精度で長時間運用可能なEHDポンプの開発を行っている。今後は、最適化されたEHDポンプをを用いて、”流体回路を組み合わせた電気流体回路”の構築を行い、4足歩行型自立ロボットの開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では”EHDポンプによる電気―流体の変換”と”流体回路を組み合わせた電気流体回路”を用いる“電気流体メカトロニクス”の学理構築を目指している。これまでに、EHDポンプの流量に対する電気的応答を調査し、その原理的検証、モデル構築や性能調査を実施した。理論的検証から、拡散電流と流量の関係性を利用した、新たな検知メカニズムを提案した。また、EHDポンプ自体の出力流量のモニタリングが可能になった。以上の結果から”EHDポンプによる電気―流体の変換”は達成された。 現在は”流体回路を組み合わせた電気流体回路”の開発に向けて、流体素子部品の開発を行い、高電圧を生成する電気回路であるコッククロフトウォルトン回路を模擬した出力拡張回路の構築を行っている。EHDポンプの出力不安定性や脆弱性などのEHDポンプ特有の課題を確認している。高電界化で動作するEHDポンプは電極や作動液体などの経年劣化を起こしている可能性があり、その性能が時間と共に大幅に変動する。また、動作性能の高い、高電界化において頻繁に起こる絶縁破壊がEHDポンプの永久故障を引き起こし、その作動条件を制約している。これらの課題が、”流体回路を組み合わせた電気流体回路”の開発を妨げているため、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施する”EHDポンプによる電気―流体の変換”と”流体回路を組み合わせた電気流体回路”を用いる“電気流体メカトロニクス”の学理構築に向けて、EHDポンプ特有の課題であるその不安定性、脆弱性を解消する。これらの課題は過去のEHDポンプにおいても、共通の課題となっており、未だにその解決法は明らかになっていないため、本研究において実施する。不安定性には、動作電界や電極材料が依存していることが確認されており、その解消のために、出力が安定する動作条件や電極材料の更なる調査を行う。また、脆弱性の解消のために、絶縁破壊による永久故障を解消する電極構造の模索を行う。既にそのプロトタイプを開発しており、繰り返しの絶縁破壊に対する耐性が確認され、脆弱性の問題を解決しつつある。上記の評価には、繰り返し、長時間における性能評価を実施するため、自動実験装置の開発を行うことで、評価の効率化を図る。以上のアプローチから、強靭、安定なEHDポンプ開発した後、出力拡張のための流体回路を構築する。最後に、センシング機能を持ったEHDポンプと出力拡張回路を実装した自立型4足歩行ロボットを開発し、日常シナリオにおける実用性を明らかにする。静音性、小型さを保ちながら、必要十分な出力制御、外部からの入力に対するフィードバック制御を実現する。
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