2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J30002
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 靖之 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | カテキンオリゴマー / 認知機能 / 青斑核 / ノルアドレナリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①認知機能低下モデル動物におけるカテキンオリゴマーの有効性を確認し、②そのメカニズムを解明することを目的としている。 ①当該年度では、認知機能について検証するためにこれまでに確立した新奇物体認識試験に加えてY字迷路試験を確立した。カテキンオリゴマーの摂取が神経新生を促進し、認知機能を向上させることを明らかにした。これらの成果について招待講演として発表した。 ②これまでに確立したカテコールアミンの観察法に加えて、それら代謝物の観察条件を確立した。これによって、より詳細に神経伝達物質の経時的変化について観察できるようになった。この方法を用いて正常動物にカテキンオリゴマーを単回経口投与後の神経伝達物質の挙動についてin situ hybridyzation法およびイメージング質量分析法を用いて観察した。これらの成果を国内学会において筆頭4回、共著8回、国際学会において筆頭2回、共著1回発表した。これまでの成果とまとめてアグリバイオ7月号に掲載された。 当該年度の成果より、カテキンオリゴマーの摂食刺激が脳の橋に存在する青斑核に入力され、ノルアドレナリンが視床下部や脳幹ををはじめとする脳全体に投射され、脳機能を活性化することを見出した。さらにカテキンオリゴマーを反復摂取することで海馬が繰り返し刺激されて神経新生が促進されることで認知機能、特に空間記憶が向上することが示唆された。また脳幹を始点とする交感神経活動が亢進することが考えられた。このことからヒト試験において示されているカテキンオリゴマーのメタボリックシンドロームのリスクファクター低減作用や心血管系疾患の予防改善作用はこれに起因することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認知機能低下モデルにおけるカテキンオリゴマーの有効性の確認については、当初の計画より遅れているが、現在までに正常動物における有効性は確認できた。一方、カテキンオリゴマー単回摂取後の神経伝達物質の観察やTRPチャネルの関与についての検証は、計画より前倒して進めることができている。また、3年目に実施予定のカテキンオリゴマー中間代謝物の測定は、未知ピークを探索するため高度な質量分析の技術と知識が求められる。その練習としてカテコールアミンの測定法を確立した。これらのことから概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
TRPV1 KOマウスおよびTRPA1 KOマウスを用いて、カテコールアミンおよびGABA、それらの代謝物についてイメージング質量分析法およびin situ hybridization法を用いて観察する。また、次年度実施予定のLC-MSMSシステムを用いたカテキンオリゴマー中間代謝物の測定法の検討を進める。
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Research Products
(17 results)