2021 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro表現系解析を基にしたマラリア原虫アルテミシニン耐性機構の解明
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19J40271
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池田 美恵 順天堂大学, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | アルテミシニン耐性 / in vitro / ウガンダ / ex vivo / kelch 13 / 原虫生存率 / RSA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウガンダで発見したin vitroアルテミシニン(ART)耐性原虫についてその耐性原因遺伝子を特定子耐性分子機構を明らかにすることを目的としている。その方策として従来のin vitro ART耐性原虫検出法であるring-stage survival assay (RSA)を改良したqRSAを開発し、ウガンダのアルテミシニン耐性の評価を行ってきた。 本年度、ウガンダのART耐性原虫はin vitroレベルにとどまらずin vivoレベルでもART耐性を持つことを明らかにした。この耐性原虫はKelch13遺伝子のpropeller domain部分の469番目または675番目のアミノ酸が変異していた(C469Y, A675V)。どちらのアミノ酸変異も既に東南アジアのART耐性原虫から報告がされてきたが、ウガンダ耐性原虫は東南アジアの原虫とは遺伝的に独立にが出現したことを明らかにした。 コロナ禍以前に実施してきたex vivo qRSAの結果から、現地ではKelch 13変異をもつART耐性原虫出現以前から耐性感受性に関わらす低濃度のARTに対する原虫生存率が高い、すなわち原虫集団全体のART耐性ポテンシャルが高い可能性が新たに示唆された。21年度も海外調査に制限がかかっており、新たな調査で耐性原虫サンプルを得ることは困難であったため、過去に現地から持ち帰った感染血液から培養原虫株を作成し、これを用いてin vitroでの耐性レベルを再評価した。 ウガンダ由来クローン培養株でqRSAを実施し、7段階のART濃度での感染率を算出した結果、ウガンダフィールドでの結果と異なり低濃度域での原虫生存率は10%以下であった。この結果はクローン株1例での結果であるため、今後さらにウガンダ由来の培養株を用いて解析を行うことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はqRSAの有効性をウガンダにおいて検証するとともに新たな耐性原虫株を得、その培養株を確立することを計画としていた。しかし、コロナ禍で海外調査を実施することが難しく、そのため新たなART耐性原虫を得ることも出来なかったため、研究進捗具合としては予定通りには進まなかった。 ウガンダのART耐性を理解する上で、耐性が東南アジアとは独立に出現していることが注目すべき点であったので、これまでのフィールド調査のデータを再検討し、それを基に新たに確立したウガンダ由来の培養株でin vitro qRSAを実施し、各ART濃度に対するsurvival rateを確認した。その結果、両者が大きく異なっていることを明らかにした。 また、RSAの解析法の検討は引き続きELISAを用いた解析法の有効性を耐性原虫、感受性原虫双方で検討するとともに、ELISAでの評価ではpyknotic formの影響を完全に除外することがやはり困難であったため、qPCRの導入を検討した。 フィールドでの調査が研究のコアであるため進捗は遅れているが、その中でもex vivoとin vitroではqRSAでの低濃度での結果が大きく異なるという新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ウガンダへの渡航が可能であれば、現地においてex vivo qRSAを実施し、その有効性を検証するとともに新たなART耐性株を持ち帰り日本で培養株化、その解析を行う予定である。 また渡航が不可能となった場合に備えて、ELISAとRT-qPCRでの生存原虫の定量法を検討する。また、ex vivo qRSAと培養株でのin vitro qRSAでの低濃度領域でのsurvival rateの差について、これがgeneralなものであるのか否か、さらにウガンダ由来の培養株を作成、解析して行くことで明らかにしていく。 耐性原因遺伝子としてはKelch13 遺伝子のA675VまたはC469Y変異が有力であるが、この変異を導入した原虫のRSAでのsurvival rateが十分に上昇しなかったことが報告された。おそらく、他の遺伝子が協働的に働くことで十分な耐性を示すことが考えられるため、Kelch13 propeller 以外の遺伝子変異について、現在保持しているウガンダ由来のマラリア原虫のデータを用いながら解析をしていく。
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[Journal Article] Evidence of Artemisinin-Resistant Malaria in Africa2021
Author(s)
Balikagala Betty、Fukuda Naoyuki、Ikeda Mie、Katuro Osbert T.、Tachibana Shin-Ichiro、Yamauchi Masato、Opio Walter、Emoto Sakurako、Anywar Denis A.、Kimura Eisaku、Palacpac Nirianne M.Q.、Odongo-Aginya Emmanuel I.、Ogwang Martin、Horii Toshihiro、Mita Toshihiro
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Journal Title
New England Journal of Medicine
Volume: 385
Pages: 1163~1171
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research