2023 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro表現系解析を基にしたマラリア原虫アルテミシニン耐性機構の解明
Project/Area Number |
22KJ2743
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池田 美恵 順天堂大学, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | アルテミシニン耐性 / 熱帯熱マラリア / 耐性度 / Klech13 / C469Y / A675V |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウガンダに出現したアルテミシニン(ART)耐性原虫の耐性責任遺伝子、その耐性機構について明らかにすることを目指した。 本研究申請当時、ウガンダではART耐性原虫が出現し、その耐性責任遺伝子はKlech13のA675Vであった。研究期間中に新型コロナのパンデミックが起こり、現地調査が中断された。中断期間前後で現地におけるART耐性原虫の主流が変化し、主流がA675VからC469Yへと変化した。 この変化はin vitroレベルでは非常に特異である。2022年度および最終年度の2023年度に実施したフィールド調査の結果からはA675VのART耐性度は高いが、C469Yの耐性度はKlech13野生型原虫と変わらないレベルの非常に弱い耐性であった。なぜこのような現象が起こるのかを明らかにするため、現地から持ち帰ったART耐性原虫を培養し、クローン培養株を作成した。得られたクローン耐性原虫の表現型をin vitroで解析したところ、A675Vはフィールド同様に高いsurvival rateを示し、C469Yも同様に高いsurvival rateを示した。 C469Yについては親株のフィールドでの耐性度は生存原虫無しの0%であったので、フィールドでの患者血液からの培養とクローン化後では異なる結果となった。フィールドでのsurvival が0%になった原因は不明であるが、少なくともクローンレベルでのin vitro表現型はC469Yであっても耐性度が高いことが明らかになった。 また、新たにKelch13野生型原虫についても、耐性出現前の2014年と耐性出現後の2022年を比較すると耐性レベルがわずかに上昇していることが明らかになった。これは、Kelch13変異以外の耐性関連遺伝子の変化がウガンダにおいて起こりつつあることを示唆している。
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