2022 Fiscal Year Annual Research Report
前近代東南アジアにおける交易の発達とアンコール朝の統治システムの変遷に関する研究
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22J40105
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
松浦 史明 上智大学, 総合グローバル学部, 特別研究員(RPD) (00584707)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 東南アジア史 / カンボジア / アンコール朝 / 王権 / 交易 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、採用期間の初年度として、研究復帰のための環境整備および夏季海外調査(カンボジア)、口頭発表、論文執筆等を行った。 環境整備として、ノートPC1台、iPad1台、カメラ1台等を購入し、調査・研究に使用している。 夏季海外調査においては、研究者の主たる研究対象地域であるカンボジアに渡航し、遺跡の踏査や博物館・遺物収蔵庫において刻文等の調査を行った。この調査において、研究者の研究途絶期間におけるアンコール史研究の進捗具合や、近年の研究者の動向等を把握することができ、今後の研究の指針を考える基礎が得られたと考えている。また、関係する現地研究者等とのコミュニケーションを積極的に行った。 口頭発表、論文執筆については、①アンコール時代からポスト・アンコール時代にかけての社会変容を刻文および漢籍から検討し、従来の時代区分論に再考を促すとともに、「内陸の農業国家」と「海上交易国家」という二分法では捉えきれない地域間交流のあり方を提起した。また、②『岩波講座世界歴史』第4巻に所収の論文において、これまで静態的にとらえられてきたアンコール史を動態的に理解する試みとして、王権の変容と対外交易の進展を主軸に議論を展開し、従来は宗教と政治の関係に焦点があてられてきたアンコール朝の統治システムとその変容を論じた。上記の研究等によって、本研究の基本的な視点や問題意識を提示でき、今後の研究の基礎を構築できたものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究途絶以後、はじめてカンボジアに渡航したことを始め、研究のためのネットワークを再構築できたことは当初の計画を完遂できたものと考えている。また、近年の史料状況や研究動向を吸収し、2年度以降の研究の基礎を構築することができた。口頭発表や論文執筆も適宜行い、研究はおおむね順調に推移しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、カンボジア等における現地踏査を継続し、関係する研究者との連携を深めつつ、査読付き論文や単著の執筆を進め、国際的にインパクトのある研究を推進してきたい。
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