2022 Fiscal Year Annual Research Report
アゾメチンイリド活性種を利用するアミノ酸分子の連続不斉中心の構築と構造多様性合成
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22J14694
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古屋 翔平 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | アゾメチンイリド / ピロリジン / Michael付加反応 / 1,3-双極子環化付加反応 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
アゾメチンイリドを用いる分子変換法の開発として、シアノピロリンを用いる不斉Michael付加反応の開発を行なった。一般的に利用されているアゾメチンイリドは、カルボニル基が触媒に配位することで安定な錯体を形成し、立体選択的反応が進行する。その一方で、シアノ基を利用する場合は、触媒との相互作用が期待できないことから、立体制御が難しいことが知られている。これに対し、所属研究室で独自に開発されたキラル銀錯体触媒を用いて検討を行なったところ、本反応が効率良く進行し、良好なエナンチオ選択性を示すことが明らかになった。さらには、Michael付加体に対し、シアノ基選択的還元を行うと、多彩な生物活性分子へ利用されてるスピロピペリジン誘導体へ容易に変換できることを見出した。 アゾメチンイリドを利用するピロリジン環形成法として、ヘテロ環状イリデン化合物を使った立体多様性合成法の開発を行なった。例えば、イリデン-2,3-ジオキソピロリジンを用いる場合では、これまで合成が難しかった立体異性体を与えることが明らかになった。加えて、本反応においても、独自のキラル銀錯体触媒を用いることで、高いエナンチオ選択性を示すことを見出した。このような稀な立体化学を与える要因を実験的に調査したところ、これまで一般的に知られていた経路とは異なる、二段階反応によって発現していることが示唆された。この知見を基に、ヘテロ環状イリデン化合物の更なる検討を行なったところ、イリデン-ピラゾロンやイソオキサゾロンを用いる場合にも、稀な環化付加反応が起こることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、シアノピロリンを用いる不斉Michael付加反応とヘテロ環状イリデン化合物を用いる不斉1,3-双極子環化付加反応の開発を行なった。この二つの研究成果は、学会にて報告し、学術雑誌にも掲載されている。また、付加脱離反応による構造多様性合成に関する研究は、実験的検討を終えて、論文投稿の準備中である。また、1,3-双極子環化付加反応によるピロリジン誘導体の不斉合成において、新たな立体多様性合成法を見出している。以上より、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
不斉1,3-双極子環化付加反応を用いるピロリジン誘導体の不斉合成において、立体異性体を作り分ける手法の開発を目指し、アゾメチンイリドとヘテロ環状イリデン化合物との不斉[3+2]環化付加反応を開発する。すなわち、ここで新たに開発する手法と従来法とを使い分けることで、ピロリジン誘導体の立体多様性合成を達成する。また、理論化学計算を用いることで、これまでの研究で明らかになった特異な反応性を示す独自の銀錯体触媒や立体化学の発現機構を明らかにし、新たな触媒の開発へと繋げる予定である。上述の研究成果及びその関連研究について、数報の学術論文を執筆する予定である。
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