2023 Fiscal Year Annual Research Report
アゾメチンイリド活性種を利用するアミノ酸分子の連続不斉中心の構築と構造多様性合成
Project/Area Number |
22KJ2774
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古屋 翔平 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | アゾメチンイリド / アミノ酸 / ピロリジン / 立体多様性 / 骨格多様性 / 不斉合成 / 1,3-双極子 |
Outline of Annual Research Achievements |
アゾメチンイリドと電子不足アルケンとの不斉(3+2)環化付加反応によるピロリジン誘導体の不斉合成において,通常得られる2,5-cis付加体と形成困難な2,5-trans付加体とを効率的に作り分ける手法の開発を行った.その結果,電子不足オレフィンの反応性の違いを利用することで,2,5-cis/trans体の立体多様性合成が可能であることを見出した.具体的に,不飽和ケトンを用いる触媒的不斉(3+2)環化付加反応はよく知られている2,5-cis体をエナンチオ選択的に与えるのに対し,イリデン-イソオキサゾロンを用いる環化付加反応と続く還元反応は対応するピロリジン誘導体の2,5-trans体を高いエナンチオ選択性で与えた.続いて,このような稀な立体選択性が発現した要因をDFT計算を用いて解析したところ,2,5-trans体を与える場合は熱力学的に安定な中間体を経由していることが示唆された. また,アゾメチンイリドを用いる分子変換において,共通の中間体から多彩な骨格を自在に作り分ける骨格多様性合成法の開発を行った.具体的に,ピロリンエステルからニトロ酢酸アリルへの不斉付加脱離反応を検討したところ,独自の銀錯体触媒を用いた場合,活性オレフィンを有する付加体を立体選択的に与えることを見出した.次に,本生成物を共通中間体とする分子変換法の開発を行ったところ,それぞれ適切な還元剤を作用させることで,イジジン骨格や環員数の異なる二種類のスピロラクタム骨格などの多彩な環状構造へと容易に変換できることが明らかになった. 以上の通り,単純なアミノ酸から発生するアゾメチンイリド活性種を利用した分子変換において,2,5-cis/trans置換ピロリジンの新たな立体多様性合成法と多彩な骨格へと効率的に誘導する骨格多様性合成法の開発を達成した.
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