2023 Fiscal Year Annual Research Report
ケニア農村部における世帯内二重負荷の実態と持続可能な食生活の検討
Project/Area Number |
22KJ2788
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
木住野 円華 東京農業大学, 応用生物科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 栄養不良の二重負荷 / ケニア / 食物摂取頻度調査票 |
Outline of Annual Research Achievements |
〇令和5年度は、以下の進捗があった。 1.令和3~4年度にかけて収集した食事データと身体計測データの解析を進めた。 1-a. 母子間での食事摂取状況は相関するが、子どもの方が相対的に微量栄養素摂取の適切性が高いことをまとめ、論文として発表した。 1-b. 子どもの発育阻害と成人女性(多くは母親)の過体重および肥満の世帯内栄養不良の二重負荷を評価し、農業生態系の異なる2地域間で割合が異なることの要因を検討した。子どもの発育阻害は地域にかかわらず乳製品摂取が少ないことが要因として挙げられ、その社会経済的格差が地域間で異なることが示唆された。成人女性の過体重および肥満は、地域にかかわらず、裕福な世帯で小麦製品など購入食品の摂取が多いことが要因として挙げられた。環境的な違いが、食事摂取の社会経済的格差の違いに影響していることが示唆された。 2.前年度に解析をした食物摂取頻度調査(FFQ)の妥当性について、成果の発表を行った。 〇研究期間全体を通じて、ケニア農村部における世帯内二重負荷の実態として、環境の異なる2地域(湿潤地域と半乾燥地域)を比べると湿潤地域の方が二重負荷のリスクが高いことが示唆された。両地域とも砂糖や小麦製品を頻繁に購入し、栄養価の高い動物性食品の購入・摂取が少ないことが課題として挙げられ、栄養教育と行動変容の重要性が示唆された。今後、妥当性検証済みのFFQで収集した約400世帯の食事や農業生物多様性、社会経済的な世帯情報の解析を進め、食事の質に関連する因子を検討し、持続的で効果の高い介入策を検討するなど研究の展開が必要である。
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