2023 Fiscal Year Annual Research Report
他者との繋がりが認知機能に与える影響をOxytocin神経回路に着目して解明する
Project/Area Number |
22KJ2795
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 純平 東京理科大学, 東京理科大学 薬学研究科 薬科学専攻, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | Alzheimer's disease / Oxytocin / Memory |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Oxytocin(OXT)は視床下部室傍核(PVN)で合成される神経ペプチドホルモンである。また、OXTは、社交性(他者との社会的接触行動)に関与することがよく知られている。またヒトを対象とした報告において、他者との社会的接触行動が乏しい「孤独」はアルツハイマー型認知症(AD)の発症リスクとなり得ることが示唆されている。このように、社交性はADの認知機能障害と何かしら関連性があると考えられるが、その詳細については検討されていない。本研究は、社会的接触による認知機能への影響にOXTが関与しているという仮説を立て、認知機能におけるOXT神経回路の役割及び作用メカニズムを明らかにし、社交性と認知機能の関連性を解明することを目的とする。申請者らは、(1)PVNのOXT神経は海馬および乳頭上核の神経細胞の活動を調節することで認知機能を制御していること、(2)PVNのOXT神経の活性化はADモデルマウスであるムスカリン受容体拮抗薬スコポラミンを投与したマウスの認知機能障害を改善することを見出しことができ、認知機能におけるOXT神経回路の役割とそのメカニズムを解明することができた。さらに、(3)社会的環境の違いが、AD病理およびOXT神経基盤に与える影響をアミロイド前駆体タンパク質(APP)にSwedish、Arctic、Iberianの3つの遺伝子変異がノックインされたAPP-KIマウスを使用し解明することができた。本研究課題の成果は、(1)認知機能を担うOXT神経基盤の解明 (2) 社会的環境がADの病理および、OXT神経基盤に与える影響について解明することができた。さらなる研究が必要であるが、OXT神経の活動を増やすような環境 (人や動物などのふれあい) を整備することで、ADの発症を予防できる可能性が期待できる。
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