2023 Fiscal Year Annual Research Report
難溶性π電子系化合物のキャッチアンドリリースを可能にする動的超分子ケージの開発
Project/Area Number |
22KJ2796
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
緒方 大二 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 動的ケージ錯体 / 超分子錯体 / ナノチューブ / π電子系化合物 / ホストゲスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、難溶性π電子系化合物の包摂と放出を可逆的に行う動的超分子ケージの創出を目的にしている。具体的には拡張したケージ錯体を合成することで、よりサイズの大きいゲスト分子(π電子化合物)や複数のゲスト分子の包摂と放出を行い、最終的にはゲスト分子のライブラリーを完成させることである。そのために、前年度までに開発したケージ錯体を用いて、π電子化合物やイオンを中心としたゲスト分子の包摂と放出の評価、および、金属イオンをPd(II)イオンからZn(II)イオンに変更し、ケージ錯体の創出と包摂と放出が可能なゲスト分子(π電子化合物やイオンなど)の探索を行った。前年度で合成した動的ケージは、PF6、SbF6、ClO4、BF4などの無機アニオンだけでなく、電子供与性のテトラチアフルバレンやフェロセンといった中性分子に対しても、包摂放出機構を適用できることを1H NMRから明らかにした。 一方で、後者のZn(II)イオンを用いた場合、横1.8 nm、縦1 nmの空隙を有する大環状錯体が構築することがX線結晶構造解析から明らかとなった。さらにこの大環状錯体は、結晶化すると錯体が一次元上に配列した有機金属ナノチューブ構造となることが分かった。ピレンやアントラセンといった難溶性のアセン系分子や、導電性に優れたテトラチアフルバレンやフェロセン、チオフェンなどの様々なサイズの中性分子を含む溶液に、単結晶を含侵させることにより、ゲスト分子が規則正しく包摂、配列できることがX線結晶構造解析から明らかになった。さらに含侵させた結晶を溶媒中に静置させると、包摂されたゲスト分子を放出可能であることが、1H NMRで明らかになった。これらの操作は繰り返し行うことができ、様々な大きさを有するイオン種や導電性に優れた中性分子を繰り返し包摂と放出を行う動的超分子ケージや有機金属ナノチューブの創出に成功した。
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Research Products
(2 results)