2021 Fiscal Year Annual Research Report
RANKL刺激で出現する核内構造体におけるRNA制御を介した骨代謝制御機構の解明
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21J22295
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
荒崎 恭弘 東京理科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / RNA結合タンパク質 / 転写後調節 / 核内構造体 / 選択的スプライシング / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
選択的スプライシング・mRNA安定性・翻訳制御を含む転写後調節を介した破骨細胞分化制御機構は,あまり知られていない。以前,申請者らは,mRNAの3’非翻訳領域に結合し,転写後調節を制御するRNA結合タンパク質Cpeb4が,破骨細胞分化誘導因子RANKL刺激依存的に核内に局在し,破骨細胞分化を正に制御する因子であることを明らかにした。しかしながら,Cpeb4が,どのようなmRNAを標的として,破骨細胞分化を制御しているかは不明である。そこで,RAW264.7細胞におけるCpeb4ノックダウン(KD)で,遺伝子発現が著しく減少していた,転写因子Nfatc1とCpeb4の関係性に着目した。Nfatc1タンパク質量はCpeb4 KDにより減少し,転写阻害剤DRB処理後のNfatc1遺伝子発現レベルがCpeb4 KDで減少傾向にあることから,Cpeb4はNfatc1 mRNAの安定化を介して,破骨細胞分化を正に制御する可能性が示唆された。一方,Cpeb4の核内局在機構については,RANKL刺激の有無でCpeb4のリン酸化状態に変化はなかったが,HEK293T細胞においてCpeb4を過剰発現させると,RANKL非依存的に同様の構造体が出現し,さらにLeptomycin Bによる核外輸送の阻害により,Cpeb4が核全体に集積したことから,Cpeb4はRANKL非依存的に細胞質と核間をシャトルすることが示唆された。また,Cpeb4核内局在にはRNA認識モチーフ7(RRM7)が必要であった。HEK293T細胞における過剰発現系では,Cpeb4はスプライシング因子であるSRp40(SRSF5),SRp55(SRSF6)と共局在及び相互作用した。以上から,Cpeb4は常に核内外を行き来し,破骨細胞分化に伴って出現する構造体にリクルートされ,スプライシング過程に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,Cpeb4がNfatc1 mRNAを制御する可能性を明らかにした。また,RANKL依存的に出現する核内構造体はいくつかのスプライシング因子から構成され,Cpeb4がスプライシング過程に関与する可能性が示唆された。しかしながら,実験条件や適切な抗体の検討に難航し,当初予定していたRNA免疫沈降によるCpeb4の標的遺伝子や核内構造体を構成する因子の網羅的同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,適切なRNA免疫沈降の条件を確立したので,次世代シーケンシングにより,Cpeb4標的遺伝子の網羅的解析を行うことで,Cpeb4が選択的スプライシングにどのように関与するのかを明らかにする。また,Cpeb4ノックアウトマウスを用いて,正常の骨代謝,骨粗鬆症・炎症モデルにおける解析を行い,大腿骨μCT画像による骨量解析,凍結切片の作製,in vitro系における破骨細胞分化評価を行うことで,Cpeb4の骨代謝における機能を明らかにする。
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