Outline of Annual Research Achievements |
増殖や死滅を考慮した生物の集中現象を記述するロジスティック項をもつKeller-Segel系や, 類似問題であるLotka-Volterra型2種走化性方程式系, ロジスティック項をもつ流行・移流モデルの解の挙動の臨界条件を解明に向けて, 以下の成果を得た: 1)非退化拡散項をもつLotka-Volterra型2種走化性方程式系に対して, 解の単調性を導出して, 有限時刻で爆発する解の存在を示した. また, 前年度に得た研究手法を応用して, 退化拡散項をもつ場合の結果も得た. 2)Hannover大学のMario Fuest氏, Johannes Lankeit氏との共同研究で, 間接的なシグナル生成を伴う準線形走化性方程式系に対して, エネルギー評価を用いて解の一様有界性を示した. さらに, 比較原理を用いて, 無限時刻で爆発する解の存在も示した. 3)東京理科大学の菅原佑也氏, 横田智巳教授との共同研究で, 準線形の感受性関数をもつ放物・放物型Keller-Segel系に対して, 解の即時正則性を示した. 4)東京理科大学の南金山亮太氏, 横田智巳教授との共同研究で, 定数平衡解が複数存在するある感染症モデルを扱い, 定数平衡解の分布に着目してDFEと呼ばれる定数定常解の漸近安定性に関する条件を導出した. 5)東京都立大学の下條昌彦准教授との共同研究で, ロジスティック項をもつ感染症モデルを扱い, 解の一様有界性, 定数平衡解への大域的漸近安定性, 進行波解の安定性に関する結果を得た. 上記の成果は, 国際会議「The 13th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications」や「日本数学会」などの国内外の研究集会等で発表し, 論文にまとめて専門誌に投稿した.
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