2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2845
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
片山 徳賢 明治大学, 明治大学大学院農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | Synechocystis / cyanobacteia / arginine / argininosuccinate lyase / ArgG |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成を行う細菌であるラン藻は、二酸化炭素有用物質を生産することが出来る。しかし、ラン藻の代謝メカニズムに関する生化学的な知見は、大腸菌や酵母よりも不足している。ラン藻による有用物質の生産性を向上させるために、代謝メカニズムの理解が重要である。本研究では、モデルラン藻であるSynechocystis sp. PCC 6803(以後シネコシスティス)の多くの代謝物が関係するアルギニン生合成系に着目した。 これまで、ラン藻のアルギニン生合成においては、出発点近くの酵素がフィードバック阻害によって制御されていることが報告されており、前年度の成果によってアルギニン生合成の一部であるオルニチン回路内部の酵素であるアルギニノコハク酸リアーゼ(ArgH)でも、アルギニン濃度によって活性が制御されていることを示唆する結果を発表した(Katayama and Osanai, 2022)。 本年度は、シネコシスティスのアルギニン生合成系の律速段階の一つであると言われているアルギニノコハク酸シンテターゼ(ArgG)の生化学解析を行い、SyArgGの比活性は、アルギニン生合成におけるフィードバック阻害を受ける酵素であるNAGKの比活性よりも1/10程度低いことが分かり、アルギニンによってその活性が顕著に阻害されていたことから、その生合成系を包括的に制御されている可能性を示唆した。続いて、これまで生化学解析を行ったArgGやArgHを過剰発現させた株を構築し、野生株との生育速度の差異や細胞内代謝産物の定量を行った。その結果、窒素源を硝酸からアルギニンに変更した際に、これら3つの株において、細胞内のアスパラギン酸が有意に増大していることが分かった。(Katayama and Osanai 2024)。
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