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2022 Fiscal Year Annual Research Report

気候変動下における農家の適応と農業構造の変化に関する実証的研究

Research Project

Project/Area Number 22J13151
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

岡村 伊織  明治大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2024-03-31
Keywords気候変動 / 適応策 / ミクロデータ / 農業生産性 / 気象データ
Outline of Annual Research Achievements

本研究で実施予定の具体的な作業は、以下の通りであった。第一に、農家レベルのミクロデータを用いて、農家が講じる適応策の実施・阻害要因を明らかにすること、第二に、実際に適応策を実施した農家と、適応策を実施していない農家のデータから、因果推論の手法を用いて、適応策の効果を評価すること、第三に、行政、農家、農協などへの現地調査を行い適応策の実態を把握することであった。これらの作業をもとに、計量分析と現地調査の両面から、農家にとって効果的な適応策の普及方法について、政策的な含意を導き出すことを目標としていた。
初年度は、山梨県の農協や農家を対象とした調査を実施し、農業現場における気候変動による影響や、適応策実施の現状についての情報収集を行った。また、全国を対象としたアンケート調査の結果を用いて、農家の適応策の実態や実施要因について検討した結果を取りまとめ、その成果を論文化した。これらの結果から農業現場においては、気候の変化やそれによる農作物への影響は実感しているものの、長期的な気候変動を見通した適応策に向けては課題も多いという現状を確認できた。
適応策の有効性の評価については、当初想定していた方法と異なるものの、農家による適応策の実施を仮定したモデルを用いて、気候変動による影響を評価した。その結果、農家が適応策を自発的に実施するという仮定の下では、気候変動による悪影響は軽微であると推定され、適応策実施の重要性が示唆される結果となった。この研究成果については、国際学会や海外の大学におけるセミナーで報告し、成果の発信に努めるとともに、海外の研究者と意見交換を実施した。また、同成果について国際学会誌に投稿した。
一方、以上のモデルでは適応策実施に関して仮定が置かれているため、その仮定の妥当性について、引き続き、ミクロデータや現場調査などを基に検討する必要があると考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

適応策の実施要因について詳細な分析を実施し、それを論文という形で公表するなど、適応策の実施要因に関する研究は、当初計画していたスケジュールで進展している。
また、適応策の有効性の評価については、当初の予定とは異なる方法で評価を行った。これによって得られた新しい知見はあるものの、モデルの仮定に関わる部分の検証など、さらなる分析の余地が残されている状況である。
また、適応策の実施に関する実態調査についても、山梨県を対象とした調査を実施したが、計量的な分析の実施や、そのとりまとめに多くの時間を費やしたため、当初の予定よりも調査の実施数がやや少ない状態である。
一方で、当初は予定していなかったが、コロナ禍が終息に向かいつつある中で、海外におけるセミナーでの研究発表など、対面での研究発表や、他の研究者との交流の機会を多く設けることができた。これによって研究者ネットワークを構築することができ、今後の研究に資する活動になったと考えている。
以上の点を総合的に勘案した結果、全体評価としては、おおむね順調に進展していると評価する。

Strategy for Future Research Activity

学会やセミナーへの参加を通して、他の研究機関の研究者とのネットワークを広げることができたため、今年度はそのネットワークを活かしながら調査・研究を実施する。具体的には、他の研究者と共同で適応策に積極的に取り組んでいる地域と、そうでない地域の両方におけるインタビュー調査を実施する。また、アンケート調査を実施することで、量的なデータを収集し、適応策の有効性について評価する。こうした現場ベースでの研究を進めることで、最終的な研究目的の達成を目指す。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 気候変動に対する適応策とその実施要因2022

    • Author(s)
      岡村伊織・藤栄剛
    • Journal Title

      環境科学会誌

      Volume: 35(5) Pages: 328-337

    • DOI

      10.11353/sesj.35.328

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] A Ricardian analysis of climate change impacts on Japan’s agriculture: Accounting for solar radiation2022

    • Author(s)
      Iori Okamura
    • Organizer
      The European Society for Ecological Economics
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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