2021 Fiscal Year Annual Research Report
対人魅力が対人運動協調の「相性」に及ぼす影響とその神経基盤の解明
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21J01257
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
向井 香瑛 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 相性 / 対人魅力 / 対人間運動協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、対人魅力が対人協調の「相性」に及ぼす影響とその神経基盤を、身体的な相互作用課題を用いて明らかにすることを目的としている。対人協調は一方向的な影響のみで創発するのではなく、個人間の相互作用によってもたらされる。しかし、対人魅力と対人協調の関係を調べた先行研究では、一方向的な影響を検証したものが多く、対人魅力の相互作用が関与する行動・認知メカニズムについては明らかではない。また、これまでの研究の多くは、意識的な協調(共同行為や協力課題など)に焦点を当てており、対人魅力が無意識的な協調に影響を及ぼすかどうかは不明である。 そこで、当該年度はまず、上述した問題点や未解決な点を解決するための二者の運動課題を考案し、課題の妥当性の検証を行うため、対人魅力に関わる社会的認知機能と二者の身体運動協調の関係を調査した。その結果、社会的認知機能が意識的な運動協調だけでなく、無意識的な運動協調にも関与することが明らかとなった。これらの研究成果は、複数の国内学会や研究会、招待講演会等で発表し、査読付きの国際学会誌に投稿するため論文としてまとめている。 さらに、上記の対人間運動協調課題を用い、社会的な親密度が対人間運動協調課題に及ぼす影響を調査した。その結果、二者の社会的な親密度が高いほど、二者の身体運動同期が高まることが明らかとなった。これらの研究成果は、国内の研究会等で発表し、査読付きの国際学会誌に投稿するため論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の途中から、日本国内での新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、安定的・継続的な対面実験の実施が難しいため、研究を中断している。したがって、当該年度は双方向の影響を考慮した対人運動協調課題の実施に加え、研究再開後の円滑な研究活動に向けた準備を行った。具体的には、研究再開後、対面実験を円滑に始動することができるよう、実験環境の構築(足圧中心計測機器や三次元光学式モーションキャプチャカメラ、心拍・呼吸・発汗などを計測・収録する生体信号測定機器など実験に必要な機材の設置など)を行った。また、実験で刺激として呈示する映像の撮影準備も行った。さらに、上述した実験環境に不備がないか確認するため予備実験を実施し、得られた予備実験データを用いて解析プログラムの構築を行った。当該年度の準備により、研究再開後は迅速にデータ収集および解析を行う環境が整っていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究によって、意識的および無意識的な身体運動協調を定量化することのできる実験課題の考案・検証が完了した。今後の研究では、同様の実験パラダイムを用いて、対人魅力が対人協調に及ぼす影響を明らかにしていく予定である。また、当該年度に得られた研究成果については、査読付き国際誌への投稿を目指し論文の執筆を進める。 また上述した通り、現在は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により研究を中断している。したがって今後は、コロナ禍が長期化する中でも、安定的かつ継続的に実験を実施できる実験計画に一部変更をする必要がある。具体的には、感染リスクが高いと考えられる二者同時測定の実験計画から、一者を測定する実験計画へ変更する予定である。また研究再開後は、当該年度に構築した実験環境で実験データを収集し、他者が自己に感じる対人魅力の程度が対人間運動協調に及ぼす影響を検証する予定である。
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