2023 Fiscal Year Research-status Report
対人魅力が対人運動協調の「相性」に及ぼす影響とその神経基盤の解明
Project/Area Number |
22KJ2876
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
向井 香瑛 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 対人魅力 / 対人運動協調 / 身体同期 / 生理指標 / 心拍数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、対人魅力が対人協調の「相性」に及ぼす影響とその神経基盤の解明を目指す計画である。当該年度は、対人魅力が身体反応にどのように影響を与えるかを調べるため、「社会的親密度と身体同期の関係」や「親密な他者の存在による生理的反応の変化」を調査した。その結果、社会的親密度の違い(恋人同士・友人同士)は、身体同期の程度に影響を与えない可能性が示された。また、親密な他者が正面にいると、副交感神経活動が活性化し心拍数が下がることが明らかとなった。さらに興味深いことに、親密な他者が右手側にいる場合にも心拍数の減少が観察された。親密な他者が左手側や背後にいる場合には生理的反応は変化しなかったことから、社会的親密度だけでなく、他者との相対的な位置関係も相互作用中の二者の身体反応に影響を与えると考えられる。上記の成果をまとめると、社会的親密度は運動学的変数(身体同期)には影響を与えないものの、生理学的変数(心拍数など)には影響を与える可能性が示された。これらの研究成果を国際学会で発表し、発表賞を受賞した。また研究成果の一部を学術論文としてまとめ受理・出版された。また、所属研究機関からのプレスリリース記事も配信されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスにより研究活動を一時中断していたが、2023年6月から研究活動を再開した。研究計画の一部を変更する必要があったものの、新型コロナウイルスの感染リスクに十分に配慮しながら、二者同時参加の実験を実施することができ、研究成果を複数の国際学会で発表した。さらに、学術論文としてまとめ、受理・出版していることからも、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、新型コロナウイルスの感染拡大により実施することができなった実験を行う予定である。また、二者間の身体同期は、線形手法にとどまらず非線形力学系解析等を用いるなど、多角的に定量化することが可能であるため、これまでの実験で取得したデータに対して、これらの解析手法を適用する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究遂行に伴って生じた研究計画の変更や新型コロナウイルス感染症の影響で実施することができなかった研究計画の一部を次年度に実施することになったため。
|