2023 Fiscal Year Research-status Report
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22KJ2909
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
濱野 友希 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 運動学習 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本応募課題の目的は、運動学習における社会的促進の神経機構を解明し、促進効果を増強する方法を検討することである。感染症拡大により複数人を一所に集める実験を行うこと厳しく制限されたことで、社会的状況を模した実験の実施計画に変更を余儀なくされた。 この難局において研究を進めるため、運動学習の神経機構についての理解を深化させることを目的とし、7テスラMRI装置を用いてピアノ演奏のように両手を用いた系列運動学習中の脳活動変化を記録する実験を実施してきた。当該年度はこれまでの実験で得た知見に基づき、論文投稿まで成果を取りまとめることができた。具体的には、これまでに申請者が片手の系列運動学習で明らかにしてきた一次運動野における学習依存的な活動上昇が、両手の系列運動を習得する上でも重要であるという知見を得た。さらに、特定の順序で動作を行うという系列に関する学習だけでなく、両手を独立して制御するという非系列的な運動学習についても、同じ左一次運動野の活動変化として表現されることが分かった。この成果により、一次運動野が両手と片手の系列運動学習を支える共通した神経基盤であることが明らかになった。 では、両手と片手の運動学習で異なる神経機構はどこにあるのか?運動制御の基本は両手動作であり、むしろ片手運動は運動前野を介した半球間抑制を必要とする特殊形であるという考えがある。この考えが正しければ、片手の運動学習に関する神経機構の方が両手学習よりも複雑であり、半球間相互作用の学習依存的変化を必要とするという仮説を得た。この仮説を検証するため、両手と片手の学習に伴う活動変化を直接比較する機能的MRI実験を計画し、現時点で20名分のデータ取得を完了した。次年度には本実験の成果を国内外の学術集会で発表するとともに、学術論文として取りまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2021年度は感染症が想定を超えて拡大したことで、対面での実験実施が厳しく制限された。そのため、特別研究員としての活動を中断し、2022年度を初年度として改めて再開した。都内にある所属機関では社会的状況を作り出す実験の実施が困難であったことから、共同研究先である生理学研究所で行動実験を実施できるように準備を進めた。しかし、2023年度から共同研究先の体制が大きく変わり、実験室等の改装に伴い当初予定していた行動実験を思うように進めることができなかった。 これらの社会的場面を想定した実験が困難である期間に研究を進めるため、両手の系列運動学習の神経基盤を解明するプロジェクトを立案し、7テスラMRI装置を用いて実施してきた。1つ目のfMRI実験については2023年度中に結果をまとめることができ、現在国際学術誌への投稿を進めている。現在、2つ目のfMRI実験として、両手学習と片手学習の神経基盤を比較する研究を遂行しており、現時点までに20名からのデータ取得が完了している。次年度の早い段階で30名までデータ数を増やし、成果を国内外の学術集会で発表するとともに、学術論文として取りまとめる予定である。 当該年度の当初計画の一部は完遂し、新たな研究についても順調に進行していることを鑑みて、「おおむね順調に進展している」という自己評価を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の当初の目的は、運動学習における社会的促進の神経機構を解明し、促進効果を増強する方法を検討することである。中断による延長分を含めて、特別研究員としての研究課題に残り2年間取り組むことができる。残りの期間において、当初の研究計画の内、「支持的な観衆が運動学習を促進する」こと示す行動実験と、「運動学習における社会的促進と抑制を媒介する神経基盤の同定」をする機能的MRI計測について実施する予定である。 感染症対策が収束したことにより、社会的場面を模した実験を所属期間で実施することも可能になりつつある。そこで、次年度は所属機関と生理学研究所で行動実験を推進することを計画しており、実験環境については準備を完了している。2施設で実験可能な体制が整っていることで、データ取得を加速させることができると考えており、2024年中にはデータ取得を完了できると考えている。並行して両手と片手による系列運動学習の神経基盤を比較する実験を完遂させる。2025年度には、次年度に実施する行動実験の結果を踏まえた上で、社会的促進と抑制を媒介する神経基盤を同定するためのfMRI計測を、7テスラMRI装置を用いて実施する予定である。共同利用として継続して7テスラ装置を利用しており、生理学研究所の特別訪問研究員としての身分付与も受けている。上述の計画はこれまでの実施実績を考慮し、十分に達成可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
2023年度の研究成果を2024年度6月にオーストリアで開催される国際学会(FENS2024)にて口頭発表する予定があり、学会参加費と旅費として執行する。また、2024年度10月に米国で開催される別の国際学会(SFN2024)でも成果発表を行う計画であり、そのための予算も含めて、繰越額を全て執行する計画である。
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