2022 Fiscal Year Annual Research Report
Probe of Fundamental Physics with Numerical Study of Black Hole Formation using the Boltzmann Neutrino Transport
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22J10298
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤穗 龍一郎 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 原始中性子星 / 超新星爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は一般相対論的ボルツマン輻射流体コードを開発し、大質量星の重力崩壊からコンパクト天体に至る過程を理解することである。2022年度には、重力崩壊後に形成される原始中性子星に関して2つの観点から研究を行なった。 一つ目は、原始中性子星の対流である。原始中性子星の後期進化計算は一次元球対称を課した先行研究が数多いが、実際には対流などの多次元効果が重要である。コアバウンス後2秒の原始中性子星に関して空間二次元でシミュレーションを行った。エントロピー勾配が正であってもレプトン数勾配が負であることにより対流が発生することが示された。さらに対流によって高温物質が浚渫されニュートリノ球における温度が上昇するため、ニュートリノ光度・エネルギーを上昇させることが判明した。 二つ目は、原始中性子星への質量降着がニュートリノ放射へ及ぼす影響である。原始中性子星の後期進化計算に関する先行研究では質量降着が無視されてきていたが、実際には質量降着が発生することが見込まれる。本研究では冷却後期の原始中性子星へ質量降着をパラメトリックに与えてシミュレーションを行った。現実的な値の質量降着でも、原始中性子星の後期熱的放射によるエネルギー光度・エネルギーを大幅に上回りうることが判明した。また、熱的放射の場合と異なり重レプトン型ニュートリノの光度が低いため、その観測によってニュートリノ質量階層性へ強い制限を与えられる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原始中性子星対流計算の結果は国際論文誌に掲載された。質量降着によるニュートリノ放出の結果は論文にまとめ、国際論文誌に投稿して現在査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は重力崩壊の段階からシミュレーションを行い、超新星爆発およびその後のコンパクト天体形成まで首尾一貫した計算を行う。数値計算コードについては準備が完了しており、年度初期すぐに計算開始可能である。 空間二次元を仮定して計算を行い、超新星ダイナミクスの解析、および形成したコンパクト天体がブラックホールか中性子星であるか、そしてその質量、などを調べる。また、得られたニュートリノ運動量空間分布からニュートリノ集団振動の発生の有無を調査し、共同研究者とともにその漸近的な振る舞いを量子運動論的に予測する。
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Research Products
(7 results)