2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2923
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水野 雄貴 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 代数多様体の連接層のモジュライ空間 / 連接層の導来圏 / Bridgeland安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度に実施した研究の成果は以下の通りである. 一般に射影代数多様体上の全ての連接層をパラメトライズするモジュライ空間はスキームとして実現できない.そのため,連接層に関するスロープまたはGieseker安定性を考慮することで,半安定層をパラメトライズするモジュライ空間を射影スキームとして構成できる.連接層のモジュライ空間の拡張として,代数多様体の連接層の導来圏の対象のモジュライ空間を考慮することができる.この場合も,連接層の時と同様に全ての導来圏の対象をパラメトライズするモジュライ空間をスキームとして構成できない.従って再び安定性を考慮する必要があるが,導来圏の対象のモジュライを構成する場合は,Bridgeland安定性と呼ばれる概念が必要となる.しかしながら,Bridgeland安定性を導入することで直ちにモジュライ空間が(射影)スキームとして構成できることが従うわけではない.ここが,Bridgeland安定性の難しさの一つとなる.実際,因子的なBridgeland安定性に限ってもモジュライ空間が(射影)スキームとしての構成が明らかであるのは,「曲線,小平次元0の曲面,射影平面,射影2次曲面,射影平面の1点爆発」に限る.報告者は,早稲田大学の吉田智輝氏との共同研究により,射影平面の2点爆発に関しても,因子的なBridgeland半安定な対象のモジュライ空間が射影スキームとして実現できることを証明した.本研究成果は,因子的Bridgeland安定性に対しモジュライ空間の(射影)スキームとして構成されるかという問題に2017年以来の進展を与える. 今後は,Bridgeland安定性を変化させた時に,モジュライ空間が双有理幾何学的にどのような変化が見られるか(壁越え現象という)明らかにすることが課題となる.本研究成果は現在論文にまとめ,完成後は学術誌に投稿する予定である.
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