2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Sulfur-Containing Ultrahigh-Refractive-Index Polymers through Controlling Intermolecular Interactions
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22J11820
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡辺 清瑚 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 分子間相互作用 / 屈折率 / 透明性 / 水素結合 / 硫黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、超高屈折率と可視光透明性を両立するポリマーの実現に向け、分子間相互作用を基軸に候補構造を設計・合成し、光学特性等を評価した。具体的には以下2項目の成果を得た。 1. ヒドロキシ置換ポリ(フェニレンスルフィド)の構造拡張:まず、本特別研究員らが従前に見出したヒドロキシ置換ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)(屈折率nD: 1.80)を出発点として、新たに2種の構造へ展開した。(1) ヒドロキシ置換PPSとメチルチオ置換PPSを共重合すると、組成比に応じ分極率と分子体積が増減し、両者が概ね半分ずつの組成で屈折率が最高値(nD: 1.85)を示すことを見出した。本ポリマーは「共重合によって屈折率を向上できる」類例ない系である。本成果はACS Polym. Au誌に報告した。(2) ジヒドロキシ置換PPSを合成し、複数箇所での水素結合に基づく疑似架橋効果により密度が格段に向上し、超高屈折率(nD: 1.85)を示すことを明らかにした。本成果はACS Appl. Polym. Mater誌に報告した。 2. チオウレアポリマー:新たな候補構造として、ランダムかつ多点で水素結合を形成できるチオウレアに着目した。芳香族をスペーサーに持つチオウレアポリマーは非晶性・高分子量(1万以上)・可視透明性・高屈折率(nD: 1.7-1.8)など、光学樹脂として優れた性質を示した。特に、フェニレンやフェニレンスルフィドを有するチオウレアポリマーは1.8超の屈折率を示し、チオウレアの一部をウレアに置き換えた共重合体が、水素結合の増強により更に高い屈折率(最高nD: 1.84)を示すことを見出した。併せて、チオウレアポリマーにジアミンを過剰量添加すると、チオウレアの結合交換反応によりポリマーが分解されることを見出した。以上の成果は現在、論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、ポリマーが有する水素結合性基の数と置換位置・スペーサーの分極率の組み合わせに応じて系統的に屈折率を制御できる、即ち、両者の足し合わせに応じた屈折率が観測されると推測していた。しかし、分子間水素結合のような相互作用が支配的となる条件では、高い分極性と水素結合の相乗効果(ヒドロキシ-メチルチオ置換共重合PPS)・水素結合の強靭化(チオウレア-ウレア共重合体)による高屈折率化など、経験的な加成性を超えた光学特性を発現可能なことを初めて見出した。加えて、当該年度に見出したチオウレアポリマーの分解性は、マテリアルリサイクルの観点で非常に有望な特性であり、他の高屈折率ポリマーと比較した優位性となり得る。以上の成果は、研究開始時には予期していなかった展開であるとともに、本特別研究員らの手法を更に拡張して高機能化を追求する上での重要な手がかりとなる。学会・論文発表も積極的に行い、受賞 (高分子年次大会ポスター賞) やMost Read Articleへの選出(ACS Polym. Au誌)など広く注目されている。以上のことから、当該年度の進捗状況は「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、分子間相互作用と繰り返し単位の分極率の同時制御を基本方針として、超高屈折率・高透明性・高アッベ数を同時に実現できるポリマー構造の要件を抽出していく。本年度は特に高分極性原子団(硫黄含有基)に着目しながら、PPS誘導体・チオウレアポリマー共に構造拡張する。併せて、X線反射率測定などからポリマーの膜物性を解明し、超高屈折率を実現するメカニズムを多角的に解明していく。 また、既に予備検討中であるが、機械学習的手法を援用した高屈折率ポリマーの構造-物性相関の解明・高屈折率化への寄与因子の抽出にも取り組む。
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Research Products
(10 results)