2022 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度ELISA法を用いた感染症ウイルス同時測定法の開発
Project/Area Number |
22J12904
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
教誓 祐太 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 新型コロナウイルス / チオNADサイクリングELISA法 / 高感度測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症ウイルスとして、現在世界中で感染拡大している新型コロナウイルスに対してチオNADサイクリングELISA法の開発を行なった。はじめに新型コロナウイルスに着目することでチオNADサイクリングELISA法が感染症ウイルスに対して有効であることを示したい。したがって、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を用いて同方法の検出限界を算出し、測定法の限界を求めた。チオNADサイクリングELISA法によって新型コロナウイルスのスパイクタンパク質・ヌクレオカプシドタンパク質において約10^-18 moles/assayで測定可能であることが示唆された。市販のELISAキットでは数ng/mL~100 pg/mLの検出限界であることが多いため、100~1000倍感度が高いことがわかり、高感度での測定が可能であった。この結果を踏まえて、大阪大学微生物病研究所から提供された紫外線照射(UVB)によって不活性化されたSARS-CoV-2をもちいて実際の新型コロナウイルスに対してチオNADサイクリングELISA法を用いることができるのか測定を行った。結果としてスパイクタンパク質では10^5 copies/assay、ヌクレオカプシドタンパク質では10^4 copies/assayで測定することに成功した。先行研究では新型コロナウイルス感染患者の検体からは10^5〜10^6 copies以上のウイルスが検出されることがわかっているため本方法では検体の検出が可能であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗は予想通り進んでいると考えている。市販のタンパク質と実際に培養した新型コロナウイルスを不活性化して測定できただけではなく、本研究の目標としてあげた不活性化した新型コロナウイルスの測定を行うこと、測定感度として新型コロナウイルス感染者から測定できるウイルス量である10^5 copiesを測定できる条件の検討の2点を達成できていることが予定通り進んでいることにつながっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は他のウイルスタンパク質測定を達成するにあたって、冬に必ず感染者が現れるインフルエンザウイルスを対象として測定法を確立し、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時測定を行うことが必要である。また、下水サーベイランス(監視・検査)への応用的な測定を行うことを考えている。汚水・下水中の新型コロナウイルス測定によって、別の角度から診断に役にたつと考えている。この2点を23年度は達成したいと考えている。
|