2023 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度ELISA法を用いた感染症ウイルス同時測定法の開発
Project/Area Number |
22KJ2936
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
教誓 祐太 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | チオNADサイクリングELISA / 新型コロナウイルス / 性差 / 女性ホルモン / エストラジオール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究として、女性ホルモンであるエストラジオールが細胞のACE2に作用して新型コロナウイルスの感染を減少させているメカニズムの解明を行った。 この研究では、アフリカミドリザルの腎臓細胞由来の細胞にヒトTMPRSS2を発現させたVeroE6/TMPRSS2細胞と新型コロナウイルスを模した模擬SARS-CoV-2を用いて、エストラジオールを添加したVeroE6/TMPRSS2細胞に模擬ウイルスを感染させると、添加していない細胞と比較して有意に感染が減少していることが分かった。また、この感染減少の要因が、細胞上のACE2が可溶性のACE2(sACE2)として、解離することで相対的に細胞上のACE2が減少しているからと仮定し、細胞培養中の細胞培養液を採取し、ELISA法によってsACE2のタンパク質量を比較した。結果、エストラジオール添加量に比例してsACE2量が増加していることがわかった。 最後にこのsACE2が感染前の模擬ウイルスに対して結合し、感染力自体を減少させているのか、模擬ウイルスとsACE2の存在を確認した細胞培養液を混合させた溶液をチオNADサイクリングELISA法を用いて測定することで結合力の有無を確認した。この結果、模擬ウイルスはsACE2量に反比例して感染力が減少していることが分かった。本研究ではこれら一連の流れを解明することができ、日本薬学会でも関心寄せられる結果となった。 また、本研究の結果ではチオNADサイクリングELISA法を使用した実験も行っている。これにより、少ないタンパク量でも測定可能となり、微量なsACE2を用いた測定を可能したことが本研究の成果にもつながっていると考えたためである。したがって本年度までの結果として一定の成果を上げたと考えている。
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