2023 Fiscal Year Annual Research Report
筋線維の3次元走行角度から迫る骨格筋力伝達機構の解明
Project/Area Number |
22KJ2941
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高橋 克毅 同志社大学, スポーツ健康科学部, 助手
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 解剖学 / 骨格筋 / 筋線維 / 3次元形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の身体に多く存在する羽状筋は、筋線維が筋全体の力発揮方向に対して斜めに走行する形状を有しており、筋線維の走行角度は筋線維張力の伝達効率を反映する重要なパラメータである。生体内の筋線維角度は筋の矢状面において2次元的に測定されてきたが、近年の解剖研究では筋線維が3次元的に走行することが明らかにされている。そのため、従来の矢状面における筋線維角度の測定では筋線維張力の伝達様相を正確に捉えられていない可能性がある。本年度は、①様々な筋における筋線維の3次元形状、②継続的トレーニングによる筋線維の3次元形状の適応を検討することを目的として研究を実施した。研究課題①では、主に大腿後部に位置するハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)に焦点をあて、その生体内における3次元形状の定量評価を試みた。その結果、各筋において従来の解剖所見と類似した筋線維走行が確認された。また、筋線維は矢状面だけでなく前額面においても角度を持って3次元的に走行しており、これまでの腓腹筋を対象とした研究と同様の3次元形状がみられた。さらに、筋によって顕著な筋線維走行角度の差異がみられ、筋線維-腱組織間の力伝達効率の筋間差が示唆された。従来の研究では、ハムストリングス各筋の複雑な形状を非侵襲的に測定することができておらず、その生体内における力伝達の実態は明らかでなかった。生体におけるハムストリングス各筋の力伝達機構の様相を示した本研究の知見は、人体筋の機能的役割の解明の足掛かりとなることが期待される。本研究課題は、新規採択課題の重複受給制限に伴って年度途中に課題廃止(辞退)を行ったため、研究課題②を実施するに至らなかった。
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