2023 Fiscal Year Annual Research Report
モロッコ・ナショナリズム運動再考:アラブ地域の思想と秩序をめぐる政治運動への視座
Project/Area Number |
22KJ2942
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邊 文佳 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | モロッコ / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、海外資料調査と成果発信の準備を行った。資料調査については、主にモロッコのアッラール・ファースィー財団図書館や国立図書館において、1930年代から50年代にかけてモロッコで出版されたアラビア語及びフランス語の新聞、雑誌、政党機関紙、運動指導者たちの著作物等を幅広く収集した。それらの資料からは、モロッコ人運動家たちが1930年代初頭から東アラブ地域の政治的動向や文化・思想面を熱心に参照し、モロッコの周縁性を認識しつつも、アラブ地域の中に自国を定位しようとしていた様相が確認された。フランスの外交文書館においては、特に前年度に見通しを得ていた、モロッコ人運動家たちによる国際ラジオ放送を通じた宣伝活動という側面について関連資料を収集した。資料調査と並行して研究の成果発信の準備を進め、成果の一部は次年度2024年5月の中東学会年次大会において、「『アラブの声』で語るモロッコ人活動家:1953~55年のラジオ・カイロとモロッコ独立運動」と題して発表することが決定した。研究期間全体としては、モロッコ・ナショナリズム運動とアラブ地域の思想、政治運動の繋がりを示す資料を自ら渉猟し、資料調査の結果、「モロッコの出来事の歴史化と歴史叙述」や「ラジオ放送を通じた宣伝活動」といった具体的問題から思想面と政治運動面にアプローチすることができたのが成果だと言える。その成果をすべて研究期間中に発表することはできなかったが、今後の学会や論文での発表に向けて、着実に研究を進めることができた。
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